10分でわかるカタカナ語

第18回 レビュー

2005年4月25日

どういう意味?

「評論・批評」のことです。そうした記事を掲載した「評論雑誌」もさします。「再検討」という意味でも使われます。

もう少し詳しく教えて

レビューは、英語のレビュー(review)からきた言葉で、語源的には「再び(re-)よく見る(view)」,つまり「見直し」という意味を含んだ言葉です。日本では主に、ある特定の対象についての批評・概観・報告・意見などを表したものをさします。

また、コンピューターのシステム開発では、工程ごとに行う「再検査」のことをいいます。

どんな時に登場する言葉?

この言葉は一般的には、新聞や雑誌の記事の見出しやタイトルで見かけます。書評を意味する「ブックレビュー」、金融や財テク記事のタイトルに「ファイナンシャルレビュー」、医療関係では「メディカルレビュー」などがあります。時事問題を扱った論説やコラムも「レビュー」とタイトルをつけていることがあります。学術分野では、紀要や論集のタイトルに「文芸レビュー」「○○大学レビュー」というように用いていることもあります。

コンピューター関連分野では、「基本設計レビュー」や「レビューテクニック」という使い方をします。

どんな経緯でこの語を使うように?

レビューは、「書評」「評論雑誌」の意味で新聞や雑誌などで広く用いられ、「評論」と表記するより若干堅苦しくなさそうな雰囲気があります。コンピューター分野で使われる英語のカタカナ表記から、「再検討」「見直し」という語源に近い意味でも使われるようになりました。さらに、インターネット時代に入り、書籍、テレビドラマや音楽、商品、ニュースなどのレビューページへの投稿や、個人ページでの書評や評論記事などで、評論家やジャーナリストあるいは学術関係者ではない一般の人々も気軽にレビューを表すようになってきたようです。

レビューの使い方を実例で教えて!

カスタマーレビュー

amazon.co.jp(インターネット書店)などのオンラインショッピングサイトには、商品説明のページに「カスタマーレビュー」というコーナーが用意されています。これはその商品(書籍・映画・音楽・家電製品など)の批評を、顧客が投稿できるコーナーです。近年では、このコーナーでの批評がユーザーの購買行動に大きな影響を与えるようになりました。

「ハーバードビジネスレビューブックス」

DIAMOND社が刊行している、アメリカのハーバードビジネススクールの機関誌「Harvard Business Review」の名著論文集を邦訳した叢書名です。

公開レビュー

JIS(日本工業規格)などの標準化団体が、規格制定前に企画案を一般公開して意見を求めることです。インターネット技術の標準仕様を策定するIETFでは、企画案にコメントを送付できるような公開レビューを常に行なっています。

言い換えたい場合は?

レビューを漢字にする場合、最も一般的には「評論」が多く使われます。タイトルや見出しとして用いる場合、表される内容によって「書評・劇評・論評・概説・概論・再考・再見・回顧・回想」などさまざまに考えられます。コンピューターのシステム開発で「システムデザインレビュー(SDR)」を「システム設計審査」と訳すように、「審査・再検討・再調査・点検」というような語に置き換えられることが多いようです。

雑学・うんちく・トリビアを教えて!

レビューはショーから始まった!? 演劇でレビューというと、フランス語のレビュー(revue)からきた、歌と踊りに寸劇を加えた華やかなショーのこと。レビュー(revue)は18世紀初めにフランスで発生した演劇様式で、もともとは当時の出来事を風刺した寸劇のことでした。そうしたことから「批評」という意味が語彙に含まれ、新聞や雑誌の記事の中でも書評や劇評など、さらには時事評論などもレビューと呼ばれるようになっていきます。日本で(revue)といえば宝塚歌劇団ですが、日本にレビューというカタカナ語が広まった最初は、やはり宝塚少女歌劇団(宝塚歌劇団)のレビューに始まると思われます。その後、松竹や日劇なども加えレビュー全盛時代となり、レビューという言葉も広まりました。

レビューとレビュー 英語の review は前述のフランス語に由来します。ショーをさす場合は revue と、書き分けるのがふつうです。日本でも、耳新しい言葉が大好きなジャーナリズムや文壇などでは、「劇評」や「評論雑誌」をレビューと銘打って発表しました。これは、どちらかというと英語の(review)から輸入されたといえるでしょう。

復習 英語やフランス語のレビューには、他にもいろいろな意味や使われ方があります。ちなみに、学校でレビューエクセサイ(ジ)ズといったら「復習(練習)問題」のことです。

筆者プロフィール

三省堂編修所

編集部から

あなたはマスコミ報道や日常会話の中で、突然意味の分からないカタカナ語に出会い、困ってしまったことはありませんか?

「そもそもソリューションとは何なのか?」「どういう意味なのか?」「どういう時に使うのか?」「分かり易く言い換えるにはどうしたらいいか?」といった素朴な疑問は、いまさらヒトには聞けない疑問のひとつではないでしょうか?

そこでこのコーナーでは、社会での使用頻度が高いわりに意味がよく知られていないカタカナ語を選び出し、それらの意味や使い方について「10分でわかる」ようまとめてみました。このコーナーを見れば、あなたもカタカナ語が怖くなくなります。