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つなぎ語:反論3―『英語談話表現辞典』覚え書き(31)―

2010年 10月 14日 木曜日 筆者: 内田 聖二

前回は一応相手の主張や言い分を認める形をとって、そのあとで自分の言いたいところを述べる表現をみましたが、今回は反論する際に、もともとていねい表現と考えられるものが使われる例を考察してみます。

相手に文字通り陳謝する典型的な表現に I beg your pardon. があります。この陳謝する意味から、聞き取れなかったときや聞き取れていても相手の意図がわからなかったときに上昇調で用いて確認する用法はよく知られています。さらに、反語的に相手の意見、主張に反論することにも用いられます。音調は下降調になります。本辞典からの例です。

4 〈反論して〉何だって, ちょっと待ってよ(◆下降調で):《父親が息子に皮肉っぽくからかって》 “You are always a hard worker, aren’t you?” “What? I beg your pardon!” 「お前はいつもがんばってるなあ」「えっ, 何だって? ちょっと待ってよ!」(◆事実は, ぐうたら息子)

この例では父親が事実と反対の皮肉を言っています。それに対して息子はそうではないことをよく知っている父親がどうしてそんな言い方をするのかその真意を問いただしています。次例は文字通り相手に反対する意見を述べる前置きとして用いられる用法です。

6 〈異議を唱えて〉失礼ですが, おことばですが(あなたの意見に反対です) (◆下降調で; butが後続することが多い):I beg your pardon, but what you’re saying is really the opposite of the truth. 失礼ですが, あなたが言っておられることは事実とは正反対です/ I beg your pardon, General Solo, but that just wouldn’t be proper. おことばですがソロ将軍, それは適切ではないと思います.

この例からもわかりますが、通例 but を伴い、相手が年上や目上の人である場合が多いようです。

I beg your pardon. とほぼ同義の表現に Excuse me. があります。もともとは自分の発言や行為を相手に謝るときに用いられますが、この語句も相手の意見、主張に異議を唱えるときにも使われます。(本辞典のほかの語義も参照してください。)

7 〈反対意見を述べて〉失礼ですが:Excuse me, but I think you misunderstand the fact. 失礼ですが, あなたの認識は間違っていると思います.

同じ陳謝の意を表し、I beg your pardon. や Excuse me. に比べてくだけた表現に (I’m) Sorry. があります。この表現にも上昇調で言ったことを繰り返すよう相手に求める用法があります。特にイギリスで用いられますが、この延長線上に、相手の言ったことは聞き取れているのに、その内容が自分の主義・主張や信念と異なることを確認する言い方があります。ときに、口論の始まりとなることもあります。

6 〈相手の言ったことに憤慨して〉何ですって(◆上昇調で):“Your husband is really an idiot!” “I’m sorry? What are you talking about?” 「あんたの旦那は本当に愚かだな」「何ですって? 何のこと言っているの?」 (◆語義2と異なり聞き取れていることに注意)

ちなみに、語義2はもう一度繰り返してほしい旨の用法です。ほかの語義も参照してください。


【筆者プロフィール】
内田聖二(うちだ・せいじ)
奈良女子大学教授
専門は英語学、言語学(語用論)
主な業績:『英語基本動詞辞典』(1980年)研究社(小西友七編、分担執筆及び校閲)
『英語基本形容詞・副詞辞典』(1989年)研究社(小西友七編、分担執筆及び校閲)
『英語基礎語彙の文法』(1993年)英宝社(衣笠忠司、赤野一郎と共編著)
『関連性理論-伝達と認知-』(初版1993年、第2版1999年)研究社(共訳)
『小学館ランダムハウス英和大辞典』(第2版1994年)小学館(小西友七・安井稔・國廣哲弥・堀内克明編、分担執筆) 
Relevance Theory: Applications and Implications, 1998, John Benjamins.(Robyn Carstonと共編著)
『英語基本名詞辞典』(2001年)研究社(小西友七編、分担執筆及び校閲)
『ユースプログレッシブ英和辞典』(2004年)小学館(八木克正編集主幹、編集委員)
『新英語学概論』(2006年)英宝社(八木克正編、共著)
『思考と発話』(2007年)研究社(共訳)
『子どもとことばの出会い』(2008年)研究社(監訳)


【編集部から】
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2010年 10月 14日