続 10分でわかるカタカナ語

第13回 リソース

2017年6月3日

どういう意味?

「資源」のことです。

もう少し詳しく教えて

リソース(resource)とは、英語で「資源」を意味する言葉です。すなわち「なにかに役立つものごと」のことです。

具体的には、水・鉱物・化石燃料などの「天然資源」、景観・史跡・風物などの「観光資源」、人・物・金・時間などの「経営資源」、コンピューターにおける「計算資源」(後述)など、あらゆる資源のことを「リソース」と言えます。風物や時間のように「物質ではないもの」もリソースに含まれる点に注目してください。

どんな時に登場する言葉?

あらゆる分野で登場する言葉です。

例えば、「個別の資源を総称したい」場合。つまり人・物・金をまとめてひとつの言葉で表現したい場合などです。

また、「資源という言葉を避けたい」場合。「天然資源」に対して、経営資源などの「非」天然資源をはっきり区別して言う場合に、リソースという言葉が用いられることも多いようです。

どんな経緯でこの語を使うように?

古くから使われている言葉です。例えば大阪朝日新聞が1938年(昭和13)5月から6月にかけて掲載した連載記事「建設途上の満洲経済を語る」には、満州の水力発電に関するこんな記述が登場します。「しかも満洲にはこれ以外に将来開発さるべき水力電気のリソースは沢山あります」(参考:神戸大学経済経営研究所 新聞記事文庫)。この場合のリソースは「水力発電に適する場所」を意味しています。

また1970年から80年代にかけて、技術書や論文などでリソースという言葉の登場機会が増えた時期もありました(参考:国立国会図書館サーチ)。この時期にコンピューターの社会利用が進み、リソース(計算資源)への言及も増えたことが背景にあります。

リソースの使い方を実例で教えて!

リソースと結びつきやすい言葉

一般にリソースと結びつきやすい言葉には「活用」「集中」「追加」「管理」「不足」「確保」「消費」 などがあります。例えば「リソースを活用する」「リソースを集中させる」「リソース不足」「リソース確保」などと表現できます。

またコンピューターの分野では、以上の一部に加えて「割り当て」「最適化」「配置」「統合」「共有」「定義」「制限」「解放」「拡張」「アクセス」などの言葉もよく使われます。 例えば「リソースを割り当てる」「リソースを解放する」「リソースにアクセスする」「リソース定義」などと表現できます。

「ヒューマンリソース」

経営資源のうち人的資源(人材)のことを「ヒューマンリソース」(human resources)と呼びます。ただし、「資源=消費するもの」という印象を避けるために「ヒューマンキャピタル(human capital:人的資本)」と言い換える場合もあります。

コンピューターの「リソース」

コンピューターの分野では「情報処理のために必要な能力」を総称して、リソース(計算資源)と呼んでいます。狭義には「CPU時間」(中央処理装置の占有時間)と「メモリー使用量」(記憶装置の占有量)を総称する概念なのですが、それ以外の資源を幅広く含める場合もあります(例:ハードディスクなどの容量、ネットワークの帯域幅など)。

また基本ソフトによっては、その基本ソフトに特有である資源にリソースの語を使っている場合もあります(例:ウィンドウズのシステムリソースなど)。

言い換えたい場合は?

基本的には「資源」と言い換えることが可能です。またリソースが指し示す対象によっては「天然資源」「経営資源」「観光資源」「計算資源」などの言葉を使うこともできます。さらに、具体的に「水・鉱物・化石燃料」(天然資源)、「景観・史跡・風物」(観光資源)、「人材・物資・予算・時間」(経営資源)、「CPU時間・メモリー占有量」(計算資源)などと言い換えてしまう方法もあります。

雑学・うんちく・トリビアを教えて!

URL の R ウェブページなどの住所(例://dictionary.sanseido-publ.co.jp/)を表現するために用いる URL。この URL は uniform resource locator を略した言葉です。ここでいう resource(リソース)とは 「資源」としてのウェブページやインターネット上の文書、画像などのこと。その1つ1つのありかを統一的な形式で示したものが URL ということになります。

筆者プロフィール

もり・ひろし & 三省堂編修所

新語ウォッチャー(フリーライター)。鳥取県出身。プログラマーを経て、新語・流行語の専門ライターとして活動。『現代用語の基礎知識』(自由国民社)の「流行観測」コーナーや、辞書の新語項目、各種雑誌・新聞・ウェブサイトなどの原稿執筆で活躍中。

編集部から

「インフラ」「アイデンティティー」「コンセプト」等々、わかっているようで、今ひとつ意味のわからないカタカナ語を詳しく解説し、カタカナ語に悩む多くの方々に人気を博したコンテンツ「10分でわかるカタカナ語」が、ふたたび帰ってきました。

「インテリジェンス」「ダイバーシティー」「エビデンス」など、日常生活の中で、新たなカタカナ語は引き続き、次々に生まれています。世の中の新しい物事は、カタカナ語となって現れてくると言っても過言ではありません。

これら悩ましいカタカナ語をわかりやすく考え、解説してゆきます。

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