最近人と人とが面と向かって話さなくなってきているように思えます。電車の中を見回してもメールを送信している人やゲームをしている人が多く、たいへん静かです。人が話していると思ったらスマートフォンに向かって「○○さんへメール」「東京駅マップ」などと言ってメール画面を立ちあげたり、地図を見たりしています。
人間が無口になったかわりに、家庭では掃除機、風呂のお湯はり、電子ジャーなどが、公的場面では自販機、ATMなどが話すようになりました。電子ジャーが「ブタまっしぐら」などと警告します。また、動物が方言で人にあれこれ指図したり注意したりします(第214回、第229回参照)。
共通語ではつまらない、もっと楽しく聞きたいという要求に答えて方言を話すグッズが増えてきています。リラックスできない、本音が言えない社会生活を背景に、方言を聞きたいという心理が働いているようです。スマートフォンにも「方言萌え目覚まし」のアプリも加わりました。