[意味]
家の点検を装って不要な工事や物品購入の契約を結ばせる悪質商法。高齢者宅を狙い「シロアリがわく」などと言って不安をあおり、契約を結ぶ事例がある。
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日本経済新聞での「点検商法」の初出例は、新聞記事データベース「日経テレコン」によると、1994年8月29日付夕刊の「シロアリ駆除で苦情急増 契約前によく確認を」の記事でした。業者が「無料点検をします」と訪れ、「シロアリがいる」「すぐに対処しないと大変」などと言って契約させるという内容です。28年も前の記事ですが、この商法の手口は現在とあまり変わっていません。
「点検商法」の出現記事件数はそれほど多くはありませんが、2000年代に入り少しずつ見え始め、00年代半ばごろの増加が特に目立ちます。これは04~05年に点検商法が社会問題化した時期であり、06年に特定商取引等に係る事犯の検挙事件数がピークになったといわれる時と重なります。当時の記事では、高齢者宅を狙った不必要なリフォーム工事を行う詐欺が取り上げられていました。点検を装い不安をあおって高額な契約を結ばせる事例は後を絶ちません。
警視庁のホームページでは、点検商法への注意喚起で「法律で義務づけられていますから」「無料で点検します」「点検にきた」「モーター故障でこのままだと…になる」「シロアリがいるから……」の5つを要注意なことばとして挙げています。他人の言うことをいちいち疑わなければならないというのは嫌なことではありますが、被害が続くとなれば疑うのも仕方がないところではあります。
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新四字熟語の「新」には、「故事が由来ではない」「新聞記事に見られる」「新しい意味を持った」という意味を込めています。