大分県の観光情報を発信している「ツーリズムおおいた」(旧 大分県観光協会)では、大分空港開港40周年を記念し、空港の利用を促進するために、昨年=平成23年10月からことしの3月まで、多くの人たちにぜひ大分に来てほしい、実際に大分を回ってそのよさを知ってほしいというアピールのひとつとして、『まっちょるけん おおいた』という冊子を作ってキャンペーンを展開しています。
「まっちょる」は〔待っている〕、「けん」は〔~から、~ので〕に当たり、〔(皆さんを)待っているので、(ぜひ)大分(県においでください)〕という意味ですが、「けん」はチケットの意味の〔券〕にもかけてあります。(第38回で紹介した福岡の乗車カード「はやかけん」も、〔早いから〕という意味と、チケットの〔券〕との掛けことばになっていました)
表紙には「九州大分は意外に近い! 大分にしかない、大分だけの魅力がてんこ盛り。旅のプランはあなた次第。」とあり、裏表紙には命名の由来が……。「「けん」には、「大分県」の「県」と、クーポン券の「券」、そして「心を込めてお待ちしています」という「まっちょるけん」の意味合いが込められています」と述べられています。
A5判30ページの冊子には、食事代や利用額が5%~10%OFFになったり、施設によっては入園料が20%OFFになったり、通常の宿泊料金から3150円引きの宿があったりと、活用するとお得なクーポン付き「まっちょる券」が55枚収録されています。
同様な例として、平成21年には、大分市観光協会が『たべてみるけん いってみるけん おおいた虎の巻』という、小型の紹介冊子2冊を作っています。
このうちの『食 たべてみるけん』の冊子には「大分ふぐ、関あじ・関さば、とり天… 大分ならではの味が楽しめる 全54店」の情報が、また『楽 いってみるけん』には「近場の穴場から県内各エリアまで 2時間~日帰りで行ける 全22コース」が紹介されており、この2冊が赤くて目立つ1つのケースに入れられています。
また、分野は違いますが、地域密着をめざすNHK大分放送局も、開局70周年記念のキャンペーンとして、平成23年4月から「しんけん 好きやけん おおいたけん」=〔本当に 好きだから 大分県〕というキャッチフレーズで局としての姿勢と意気込みを表現し、「ぜひ大分放送局の作った番組を見てください」と呼びかけています。
こちらは、「―けん、―けん、―けん」と、韻を踏んで「けん」の3段重ねになっています。
「しんけん」は「しらしんけん、しゅらしんけん」が転じたもので、大分では〔非常に、本当に、一生懸命に〕の意味でいちばん広く使われている、強調のことばの代表例です。(第18回「大分国体と方言」、第108回「大分のローカルヒーロー」も参照)
このキャッチフレーズを活かし、「しんけん好きなもの」というテーマで県内の全18市町村を取材。各地域・各世代の人々やグループに数多く登場してもらい、番組と番組の間の短い時間を活用して、30秒の「ミニ番組」として放送しました。
その多くは方言を交えながら自分たちの日頃の活動などを紹介。そして最後には「○○に来ちょくれ~」〔~に来てくださ~い〕とか、「□□を食べに来んかえ~」〔□□を食べに来ませんか~?〕といったお誘いやメッセージで結んでおり、実に1000人以上の人たちが画面に登場しているということです。
《参考》
①社団法人ツーリズムおおいたの『まっちょるけん おおいた』は、
//www.visit-oita.jp/info/kamihanki/machoruken.html で、
②大分市観光協会の『おおいた虎の巻』は「パンフNavi」で見ることができます。//www.pamph-navi.jp/art/view_dynamic/pdfView.php?src=pam10007694
また、③NHK大分放送局のホームページは //www.nhk.or.jp/oita/を参照。