どういう意味?
「(環境・社会・経済の面で負荷が少なく)持続可能な」ということです。「サステイナブル」「サスティナブル」とも書きます。
もう少し詳しく教えて
サステナブル(sustainable)はもともと英語で、「持続可能な」という意味です。
この「持続可能な」とは「そのやり方が将来も継続できる」ことを意味します。多く、環境を中心とする分野において言われます。例えば「サステナブルな社会」と言った場合、それは「将来にわたって持続可能な社会」のことをさします。より具体的に言うと「環境を保護して資源も浪費しないことにより、将来世代も現役世代と同じように発展の恩恵を受けながら暮らせる社会」のことです。
どんな時に登場する言葉?
環境問題などの「社会的課題」を語る際に、よく登場する言葉です。ここでいう社会的課題には、環境・資源・エネルギー・貧困・教育・人権などの課題が含まれます。
例えば資源の分野では「サステナブルな水産資源の管理(=水産物の乱獲をやめること)が必要」などの文が登場します。また人権の分野では「工場をサステナブルに運営するため、劣悪な労働条件を見直した(=低賃金や過剰労働などを排した)」のような言い方も登場します。
いっぽう経営分野で限定的に登場するサステナブルも存在します。例えば「サステナブル成長率」(持続可能成長率=内部投資のみで実現できる成長の比率:企業価値を評価する指標のひとつ)のように、会社の継続可能性について言う場合がこれに当たります。
どんな経緯でこの語を使うように?
サステナブルという言葉が注目されたきっかけは「持続可能な開発(sustainable development)」という概念にありました。これは「『持続可能性』と『開発』は両立できる」という考え方、つまり「『環境保全』と『社会の発展』は両立できる」という考え方をさします。もっと言えば「『将来世代』と『現役世代』の利益は両立できる」とも言っているわけです。
この概念が提唱されたのは1987年のことでした。国連の「環境と開発に関する世界委員会(通称、ブルントラント委員会)」が本概念を中核に据える提言を行ったのです。以後サステナブルという言葉は「環境」や「社会的課題」と深く結びつけて使われています。
なお日本の新聞記事(注:毎日・朝日・産経・読売調べ)で、サステナブルの登場頻度が増えたのはゼロ年代(2000年〜09年)以降のことです。
サステナブルの使い方を実例で教えて!
サステナブルな社会
持続可能性が求められる物事について「サステナブルな社会」「サステナブルなライフスタイル」などのように表現できます。
サステナブルケミストリー
サステナブルを含む複合語もあります。例えばサステナブルケミストリー(sustainable chemistry)とは「持続可能な社会づくりに貢献する化学」のこと。環境保護に役立つあらゆる化学的手法(廃棄物・二酸化炭素排出の抑制、省エネ、エネルギーの効率化、自然エネルギーの利用、再利用素材の活用など)をさします。このほかサステナブル建築、サステナブルデザイン、サステナブル経営などの複合語もあります。
SDGs
sustainable を含む略語(頭文字語)も存在します。例えば SDGs は Sustainable Development Goals の略で「持続可能な開発目標」のこと。国連が2015年に採択した国際目標を指します。これは2001年の MDGs(ミレニアム開発目標)を引き継ぐ新しい目標。「貧困の解消」「飢餓の解消」「健康や福祉の実現」「教育機会の確保」「ジェンダーの平等」など17の目標および169のターゲット(具体的な目標達成基準)が掲げられています。
サステナビリティー
形容詞の sustainable に対して、名詞形である sustainability という言葉が存在します。カタカナ語で表すと「サステナビリティー」「サスティナビリティー」となります。多くの場合は「持続可能性」と言い換えることが可能です。
言い換えたい場合は?
ほとんどの場合「持続可能」を使って言い換えることが可能です。例えば「サステナブルな発展」は「持続可能な発展」と表現できます。ただし「持続可能」と言い換えただけでは、「持続可能な開発」の概念が伝わらないかも知れません。その場合は適宜、「環境負荷の少ない」「将来にわたって利益享受できる」といった補足説明を加えると良いでしょう。
雑学・うんちく・トリビアを教えて!
ISO 26000 企業の社会的責任(CSR)という概念があります。これは企業が果たすべき責任を、経済的責任や法的責任だけでなく、より広範な社会的責任(すなわち「持続可能な開発」への寄与)に広げようとする考え方をさします。この社会的責任について、国際標準化機構(ISO)が2010年に ISO 26000と呼ぶガイドラインを策定しました。企業を始めとする「あらゆる組織」を対象に、持続可能性にかかわる項目を含めた、社会的責任の観点から遵守すべき事柄をまとめた手引書です。