どういう意味?
インターネットの「高速大容量回線」や、そこでの「サービス」のことです。
もう少し詳しく教えて
ブロードバンド(broadband)を直訳すると、広い(broad)帯域(band)のこと。特にインターネットの世界では「高速大容量回線」のことをさし、多くの場合はこの意味で用いられます。BB、ブロバンなどと略される場合もあります。「高速大容量」と呼ぶための具体的な基準はありませんが、概ね ADSL やCATV や光ファイバーなどの接続技術をさすようです。いくらブロード(=広い)という呼び名になっていても、銅線や光ファイバーが実際に太いわけではない点に注意してください。ちなみに従来的なアナログ電話回線(ダイヤルアップ接続)や ISDN などの接続技術のことは、ブロードバンドに比べて低速であるため、ナローバンド(narrowband; 狭い帯域)と呼びます。
インターネット回線が高速になると、低速時には難しかった利用方法が楽しめるようになります。例えば低速回線では「メールの送受信」や「ホームページの閲覧」などが主な利用方法でしたが、高速回線ではこれに加えて「動画の視聴」などの利用方法も可能になります。そこでブロードバンドという言葉は、このような高度なサービスをさし示す代名詞としても用いられるようになりました。
どんな時に登場する言葉?
インターネットの分野で登場する言葉です。多くは「高速回線」を意味する文脈で登場することが多く、その場合「ブロードバンド接続・ブロードバンド回線・ブロードバンド通信・ブロードバンド環境・ブロードバンド化」などの用例があります。これらの用例は、情報通信・娯楽・マスコミ・産業・経済・政治などさまざまな分野で登場します。
一方ブロードバンドは、高速回線上で提供されるサービス(動画配信など)をさし示す場合もあります。この場合「ブロードバンドサービス・ブロードバンドサイト・ブロードバンド特集・ブロードバンド情報・ブロードバンド番組」などの用例があります。
どんな経緯でこの語を使うように?
データ通信の分野において、もともとブロードバンドの語は、ここで説明しているものとは別の意味を持っていました(=複数の変調した信号を広い周波数帯域で同時に送る方式)。この言葉が現在の意味で一般化するきっかけを作ったのは、アメリカの CATV 業者と言われています。つまり「既存の通信サービスに比べて、CATV の通信サービスは早いですよ」と宣伝するために、ブロードバンドの語が持ち出されたのです。
日本でブロードバンドの語が注目され始めたのは 2000 年頃のこと。同年にNTT 東日本と NTT 西日本が、インターネット高速接続サービスである「フレッツ ADSL」の本サービスを開始。日本のネット環境も高速接続時代に突入したのです。翌年にはソフトバンクグループとヤフーが、低価格のサービス「Yahoo! BB」でこの市場に参入。ブロードバンド利用者の数を爆発的に増やすきっかけになりました。この出来事は、業界を激しい価格競争に巻き込んだうえ、インターネット利用者の質的変化をも引き起こしたことから、関係者から「ヤフーショック」と呼ばれています。また近年では、光ファイバーによる高速接続サービスも一般化しました。
2006年のデータでは、自宅にインターネット利用者がいる世帯のうち、ブロードバンド接続に対応した世帯が72.2%にものぼっています(参考; インプレス『インターネット白書 2006』)。
ブロードバンドの使い方を実例で教えて!
ブロードバンド化
「我が家のネット環境をブロードバンド化する」と言った場合、既存の低速回線を高速回線に切り替えることを意味します。つまり、アナログ電話回線(ダイヤルアップ接続)や ISDN などの接続技術を、ADSL やCATV や光ファイバーなどの接続技術に切り替えることを意味するわけです。ネット環境をブロードバンド化すると、例えば「ホームページの表示が完了するまでの時間が短くなる」などの効果を体験することができます。
ブロードバンドコンテンツ
高速大容量回線での利用が適しているようなコンテンツ(=情報やサービス)のことを「ブロードバンドコンテンツ」と呼びます。具体的には、映画やテレビ番組などの動画を配信するサービスや、音声電話・テレビ電話などのサービスをさします。
言い換えたい場合は?
「広帯域回線」「高速大容量回線」などの語を試してみてください。
雑学・うんちく・トリビアを教えて!
新語・流行語大賞 ブロードバンドは、2001年の「新語・流行語大賞」(トップテン)を受賞しています。その際の受賞者は、ソフトバンク株式会社代表の孫正義(そんまさよし)でした。「Yahoo! BB」でブロードバンド市場に参入し、この市場に価格破壊をもたらしたことが、受賞の理由となったようです。
ブロードのいろいろ ブロード(broad)は「広さ」を意味する接頭語になります。例えばブロードキャスト(broadcast)は「放送(=広くばらまく事)」を意味しますし、ブロードウェイはニューヨークにある「大通り」を意味します。