どういう意味?
「地球規模の」ということです。
もう少し詳しく教えて
グローバル(global)は「地球規模の」「球状の」などを表す英語から来ています。「国境を越えて地球全体にかかわるさま」を表し、「世界的規模の」という意味でも使われます。また、コンピューター関連では「汎用の」「広域の」などの意味でも用いられます。
どんな時に登場する言葉?
「グローバル化」「グローバリゼーション」などという言い方で、全世界的な規模を表す場合に登場します。特に経済関連では「グローバル債」「グローバルボンド」「グローバルキャリートレード」など、政治やITを含む国際関係では「グローバルスタンダード」「グローバルガバナンス」「グローバルパートナーシップ」「グローバルビレッジ」などのような用語に多用されています。
どんな経緯でこの語を使うように?
もともと「球体」を意味するグローブ(globe)が「地球」や「地球儀」を意味するようになり、そこから「地球規模の」という意味でも使われるようになり、さらに「全世界的な」ということを表すようになりました。日本では、1990年代半ば、バブル崩壊後に「国際経済に共通する理念」といった意味で「グローバルスタンダード」という言葉が多用されたことから広まったと思われます。その後、ITによる全世界規模の統一規格化、まさにグローバルスタンダードが進んだことから、「汎用の」という意味合いも含まれるようになりました。
グローバルの使い方を実例で教えて!
「グローバル」な○○
グローバルな見方、グローバルな視点、グローバルな展開、グローバルな問題などのように、「グローバル」に「な」をつけて、「世界的な」とか「地球規模の」という意味で形容動詞的に使われます。
グローバル化
地球規模、世界規模に広がることをさします。「グローバル化時代に求められる大学教育」、「グローバル化社会の人材」「グローバル化という植民地化」「脱グローバル文化」などのように使われます。グローバル化することを「グローバリゼーション」といいます。また、「グローバル主義」を「グローバリズム」ともいい、それに反対する考え方を「反グローバリズム」といいます。
グローバル-アドレス
インターネット空間上の戸籍住所のようなものです。各組織に対して各国のNIC(Network Information Center; ニック)が割り当て、それらを総括してIANA(Internet Assigned Number Authority; アイアナ)が一元管理しています。
グローバルは「インターナショナル」や「ユニバーサル」とどう違うの?
グローバルとよく似た言葉に「インターナショナル」や「ユニバーサル」があります。いずれも漢字にするときには「国際的」という訳語が使えますが、必ずしも同意語ではありません。インターナショナル(international)は、「~の間、相互」を示すインター(inter-)と「国、民族、国家」などを示すナショナル(national)から成り立っているように、国という組織の間つまり「国家間」という含みがあります。ユニバーサル(universal)は、「全体、普遍、宇宙」などを示します。グローバルは前述の通り「球体、地球」から来ています。このように語源が示すとおり、それぞれのニュアンスは異なり、「ユニバーサルな課題に対するグローバルな取り組みにおけるインターナショナルな協力」という言い方も可能です。簡単に示すと、インターナショナル<グローバル<ユニバーサルという順番で、規模が拡大していきます。
言い換えたい場合は?
グローバルを漢字で表現すると「地球規模の」が最も原語に近いでしょう。グローバル経済を「世界経済」と言い換えるように、文脈に沿って「世界規模の」「世界的な」「全地球的な」などと言い換えることもできます。グローバルスタンダードは「国際標準」、グローバル化は「国際化」などのように、熟語になると「国際○○」という表現が多くなります。ただし、前述のグローバルアドレス、グローバルガバナンス、グローバル債などのような用語は、漢字にするとかえって判りづらくなるので、無理に言い換えず、必要であれば言葉の説明を加えるといいでしょう。また、「過剰供給」を意味するグローバルグラット(global glut)のように、用語として訳語が用意されているものはそれに置き換えます。
雑学・うんちく・トリビアを教えて!
「グローバルスタンダード」は和製英語? グローバルスタンダード(global standard)は「世界に共通した基準」のことで「世界標準」「国際基準」などと訳されます。経済や経営関係の用語として、「金融システムや経営システムなどにおいて国際的に共通している理念やルールのこと」という意味で使われることも多く見られます。グローバルスタンダードは文法的にも正しい英語(global standard)なのですが、英語ではそうした経済用語としては使われず、もっぱらISO(国際標準化機構)をはじめ、ITなどの科学技術や工業規格などで「国際標準規格」というような場合に用いられます。雑誌「諸君!」1998年10月号に掲載された「グローバルスタンダードは和製英語だ」(グレン=S=フクシマ著)によると、バブル経済において日本がその特殊性や卓越性を誇示してきた反動として、バブル崩壊後に日本の財界人がこの言葉を好んで用い、マスメディアが追随したとされています。
グローバルの理解度 国立国語研究所の「『外来語』言い換え提案」によると、「グローバル」は「地球規模」「全地球的」「全球的」とされています。また、2003年掲載の情報によると、「グローバル」の理解度は国民全体の25%以上50%未満です。