独和新辞林(袖珍独和新辞林)
明治29年(1896)9月19日刊行
高木甚平、保志虎吉共編/本文1539頁/袖珍判(縦91mm)
三省堂による初めての独和辞典の出版は、仏和辞典より10年も後だった。我が国のドイツ語辞書の出版も、英語辞書やフランス語辞書より遅れ、明治5年から始まる。その後の出版点数も、やはり英和や仏和より少なかった。
本書は、他社との差別化を意識した袖珍サイズ(厚さは4cm前後)で小さな七号活字を使い、英語の辞書編集によって蓄積されたノウハウを駆使している。原稿は、三省堂の斎藤精輔が多くのドイツ辞書を参照しながら独英辞典を翻訳して完成させたという。
ドイツ語にはドイツ文字(亀の甲文字)が使われ、複合語は主となる語の項目に集めてある。語釈は原義を先に、転義を後に掲載し、異なる語義を番号で区別した。分野別の表示をして、漢語と和語、雅語と俗語の両方を用いるように努めている。また、ラテン語やフランス語、英語などの外国語にも表示を設け、人名・地名などには英語を付記してある。
なお、本書の表紙や扉の書名には「袖珍」が付かないが、本文の最初にある内題には「袖珍」が付き、出版当初から両用していた。国会図書館所蔵本は扉や序文・判例などの前付けが欠落しているため、内題を書名としたようだ。
●最終項目
zyfelmaus, f.〔動〕.ヤマネ(日光方言)又フクネヅミ
●「猫」の項目 Katze
●「犬」の項目 Hund
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