小辞林
昭和3年(1928)9月12日刊行
金沢庄三郎編/本文975頁/三五判変形(縦152mm)
小辞林(大型版)
昭和4年(1929)10月1日刊行
金沢庄三郎編/本文1330頁/三六判変形(縦168mm)
『小辞林』は『広辞林』を基にコンパクトなコンサイス版として編集した国語辞典である。『小辞林』の初版から1年後に刊行された「大型版」は、4段組から3段組になり、単純に大きくしただけではなく、約2000語の外来語が増補されている。
例えば「アイデアルカラー」は、『広辞林』初版(大正14年)にも新訂版(昭和9年)にも載っていない。「アウト」では、子項目に「アウトカーブ」「アウトサイド」「アウトドロップ」「アウトフィールド」といった野球用語が加わっている。これらは『広辞林』の新訂版に載録された。
見出しの仮名遣いは、『広辞林』と同様に漢字音の仮名遣いを表音式の「写音的仮字遣」にして、歴史的仮名遣いを下にカタカナで小さく載せている。逆に、和語の仮名遣いは歴史的仮名遣いだが、「写音的仮字遣」を下にカタカナで小さく載せているのも『広辞林』と同じ。
また、外来語の長音符号「ー」は読まない方式で配列した点も、促音の「っ」や拗音の「ゃゅょ」は見出しだけでなく語釈にも用いられている点も『広辞林』を踏襲したものだ。
本書は戦後も発行を続け、昭和31年(1956)9月には第176版が出たことが確認できている。改訂版の『新小辞林』の刊行は翌32年2月だった。
昭和29年の第172版は「新版」となっているが、その存在はあまり知られていない。なぜなら、発売期間が短いうえ、本文の最初にある内題にだけ「新版」とあって、表紙や奥付には表示されずに版数が続いているからだ。昭和26年の第170版は初版のままだったので、第171版か第172版からの変更である。じつは、この「新版」は「大型版」を4段組に直して採用したものだった。「新版」の本文は998頁である。
●最終項目
●「猫」の項目
●「犬」の項目