新漢和大字典
昭和7年(1932)2月6日刊行
宇野哲人編/本文1743頁/四六判変形(縦191mm)
本書は、昭和2年(1927)刊行の『明解漢和辞典』と同じく、宇野哲人が編者である。収録親字数は9111。字源の説明はないが、親字数も熟語数も増え、出典・用例もある。
前著と同様に呉音・漢音・唐音の表示はなく、音がふたつ並んでいるときは右が漢音、左が呉音である。慣用音や通用音は「(慣)(通)」としている。さらに、「延音・促音・唐宋音・広東音」の表示もある。
巻頭には部首が分かりにくい漢字を引くための「検字」(総画索引)があり、巻末には「音訓索引」がある。音訓索引は発音的仮名遣いだが、「じ・ぢ」「ず・づ」は使い分けている。
前著では五十音順だった本文の配列を本書では部首順に戻し、間違えやすい部首の漢字は空見出しを設けた。
それでも、現代的な熟語を載せる方針は変わっていない。例えば、「社」には「社家(しゃけ)」「社格」「社掌」の神道用語があり、日本語独自の熟語は「*」に似た記号を付けた。そのほかに、「社説」「社員」「社交性」「社会学」「社会党」「社会意志」「社会教育」「社会主義」「社会進化」「社会政策」「社会問題」なども掲載されている。
術語には、「仏」(仏教)、「哲」(哲学)、「心」(心理学)、「法」(法律学)、「動」(動物学)といった表示がある。現代国語ではない漢文で使われた熟語には出典・用例を載せている。
三省堂の漢和辞典で初の試みは、熟語項目の後に、親字が下に付く熟語の一覧を載せたことである。付録には、「常用漢字便覧」を兼ねた「草字便覧」が付けられた。
●最終項目
●「猫」の項目
●「犬」の項目