新撰支那時文辞典
昭和14年(1939)11月20日刊行
長沢規矩也編/本文176頁/三五判(縦146mm)
本書は三省堂における最初の中国語辞典である。「時文」とは現代文という意味で、古典漢文を扱った漢和辞典とは違うことを表す。
満州への移民が増える時勢に従い、文部省が昭和14年から中等学校の漢文の教科に「支那時文」を加えたため、中学用の教科書・参考書・辞書が出版されるようになった。それまでに刊行されたのは、大学用や高等学校用のものだった。
本書には現行の教科書から、漢和辞典にない親字や熟語、あっても意味が異なるものや時文でよく使われるものを収録してある。また、中国の辞書や新聞からも補足してある。
配列は『新撰漢和辞典』(昭和12年)に倣い、旧来の部首分類とは違う合理的な方法を採用した。例えば「木」の部首は、上「木・杏・杳・査……」、下「架・柒・染・柴……」、左「杠・村・杖・杜……」、その他「本」、と分けられている。「末」は「一」の部首、「未」は「二」の部首になり、かえって引きにくいおそれもあるが、前付の総画索引で補った。
親字は約3000字、熟語は約8000語を収録。初版本に貼り紙で隠された項目があり、別の初版本で確かめたところ「偽国 満洲国、正しい国家でない意。」だった。
●最終項目
※「猫」「犬」の項目なし