それぞれの言語社会にあって、興味関心の深い分野の語彙は豊富になる傾向があります。
たとえば、広い草原を羊とともに移動しながら暮らしを立ててきたモンゴルをみてみましょう。モンゴル語では、羊の一般称であるホニのほか、年齢ごとに名前を分けて呼んでいます。
ホルガ(1歳)→シュドゥレン(2歳)→ヒャザーラン(3歳)→ソヨーロン(4歳)
このように年齢とともに名前が変わっていくものの代表格は、日本語では「出世魚」ですね。
ブリ漁の盛んな三重県熊野灘沿岸では、①セジロ→②ツバス→③ワカナ→④カライオ→⑤イナダ→⑥ワラサ→⑦ブリのように7段階に呼び分けています。
また、ボラ漁の盛んな静岡県浜名湖地方では、①キララ→②オボコ→③イナ→④ニサイ→⑤ボラ→⑥トドと、6段階の区分があるそうです。
さて、信州・佐久地方では、古来、動物性たんぱくの摂取に鯉を重んじてきました。現在も、お正月のめでたい魚として、また、結婚披露宴などお祝いごとの料理には欠かせないものとしても親しまれています。名づけの上でも、養殖業界を中心に、
アオッコあるいはコイッコ(稚魚)→トウザイ(当歳・1年目)→チュウッパ(中羽・2年目)→キリゴイ(3年目で出荷)
と、呼び分けられ、まさに「出世魚」として尊重されていることがわかります。
佐久を訪れ、鯉料理を楽しみ、おまけに佐久弁を親しもうとの計画には、佐久ホテル(佐久市岩村田)がオススメです。
現当主・篠沢明剛氏は、働き盛りの40代の「若手」ながら、佐久弁の達人(ながく地元のFMラジオ局で、佐久弁の番組も担当されていました)。地元・佐久と佐久弁と佐久鯉をこよなく愛する同氏経営のホテルのランチョンマットは、佐久弁の一覧表(お食事をした方には、無料サービス)です。また、お願いすれば、佐久弁「桃太郎」の語りも聞くことができます。
今夏は、ぜひとも佐久に「おいでなんし(お出かけください)」。