その看板とロゴは、松本市内の老舗スポーツ用品店「スポーツプラザ ヤマトヤ」(松本市大手)の一角を占めています。
「えべや」は、「えぶ・えーぶ[=歩く]」の命令形に「や」がついたもので、「(歩いて)行こう」といった意味合いになります。この「や」は第15回で取り上げた「遊べや」の「や」と同じです。同じ音にかけて、この「や」の部分を「家」と表記しているのは、人が集まるお店を意図してのことだそうです。
また、ロゴが歩く人をイメージしているのも、ウォーキングシューズを扱うお店ならではの凝った部分です。
お店のご主人のお話では、先代が松本市の北方、安曇野のご出身で、よく「えんでく[=歩いて行く]」という語を使っていたとの由。地元への愛着をこめて、方言による命名とロゴの一工夫をされたとのことでした。
ちなみに、「えぶ・えーぶ」の語源をたずねると、「あゆむ(=一歩一歩の足取り。馬や人が一歩一歩足を運んでいく意)」にたどり着き、その変化の過程は、「あゆむ→あゆぶ・あよぶ→あいぶ・あえぶ→えーぶ」となります。第71回に登場の「あいべ[=(いっしょに)行こう]」と同類ですね。
お店でオススメのシューズを履いて城下町の散策に出ると、軽やかで何かいいことがありそうな気がしてきます。