今年は,松本清張生誕100年です。清張の長編小説『砂の器』は,現在の島根県奥出雲町の方言が被害者の手がかりとして使われました。(ただし,注意すべき部分もあります)
島根県の出雲弁における言語の商業的利用についてご紹介しましょう。
[1]「だんだん」。
NHKの朝の連続テレビ小説の題名にもなりました。「ありがとう」の意です。第71回の「おしょうしな」も「ありがとう」でした。この意味の方言は,商業的利用がしやすいようです。たくさんありました。メッセージ【写真1】はもちろんのこと,方言ネーミング【写真2】にも多く使われています。
※「奥出雲古民家暖々」では,案内の方から「ヨージンシテ」(お気を付けてどうぞ)と出雲弁で送られました。直接話していただいて「だんだん」という気持ちです。
[2]方言メッセージ(「だんだん」以外のもの)。
松江駅前のレンタカー営業所の「レンタカーあ~よ 借りに来ないやぁ」【写真3】と,出雲大社の「知っちょなはーますか?」(知っていらっしゃいますか?)【写真4】です。文によるものなので,この方言の感じが伝わりますね。
[3]方言菓子。
各地にある,方言の印字された菓子です。クッキーとまんじゅうです【写真5】。クッキーには8種の方言が印字され,共通語訳も付いています。
えなげな(へんな),おんぼらと(ほのぼのと),たばこする(休けいする),だんだん(ありがとう),ちょんぼし(少し),ばんじまして(夕方になりました),ほんそご(かわいい子),まめなかね(元気ですか)
[4]松江市営“出雲弁”バス。
「だんだん」のほか,車体の左右と後方に,方言がたくさん書かれてあります。圧巻です【写真6】。
《謝辞》今回の【写真4】は,樋渡登先生(都留文科大学教授)よりご提供いただきました。ここに記しまして感謝の意を表します。
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〔補遺〕
第66回「世界最小の方言グッズ」の関連する例を補足します。
ロッテ「コアラのマーチ」です。
「おおきに」と書かれて【写真7】,箱の差込(外からは見えない)に解説が付けられてあります。
ちなみに,どの箱にも入っているのでなく,なかなか出逢えません。(私の場合,5箱目に2箇入っていました。差込とも関連はしていないようです)