そのお店は、「游学城下町」として売り出し中の長野市松代(まつしろ)町にあります。「おやき」(第40回)はもちろん、和菓子から洋菓子までを幅広く製造販売する蔦屋本店。
その最近のヒット作が「かりんとう饅頭 大名のおこびれ」です。カリカリとした皮に、しっとり餡が包まれ、まさに絶妙の食感です。
「おこびれ」とは、おやつのことで、「こびり」とも言い、長野県内の他地域では、「こびる(小昼)」(木曽・伊那)「こびれ」(更埴・小県)と言ったりもします。漢字で、「小昼」と書くことができるように、語源のハッキリした語です。
「城下町にはおいしい和菓子(屋)がある」というセオリーをふまえ、お茶のおともにというねらいがネーミングに込められているようです。
このお店には、もう一つ、商品のほかに方言グッズがあります。それは、店員さんお手製の方言一覧(チラシ)です。
作成のねらいを伺ってみると、同じ長野県内から嫁いできたものの、日常会話の中に飛び交う方言に戸惑うこともしばしば。はてなと思う語を書き留めて、おもしろいと思われるものを一覧にし、お店で配ったところたいへん好評だったとのこと。帰省の際に、お店を訪れた松代町を離れた方にも、喜ばれたとの由。何度かのバージョンアップを重ね、今の版に至っているそうです。
地元・松代町を愛する社長さんのもと、地域の方はもとより、たくさんの観光客をおもてなしすることに努めているお店の力作2点でした。