あけましておめでとうございます。今年も宜しくお願いします。
さて,岩手県の太平洋沿岸地帯の南端部は,以前,「気仙(けせん)郡」でした。現在の行政区域では,釜石市唐丹(とうに)町・気仙郡住田町・大船渡市・陸前高田市です。場所を地図で確認してください。
今回は「ケセン語メッセージ」を紹介します。
「ケセン語」とは,大船渡市の医師で方言研究家の山浦玄嗣(やまうらはるつぐ)さんによる,この地域の方言の呼び方です。日本語の中の「気仙方言」ではなく,別言語というわけです。この文章も,山浦先生の呼び方に合わせます。
ケセン語メッセージは,三陸鉄道に2例あります。「三陸さぁ よぐきゃんしたねぇ!」(三陸に,よくいらっしゃったねぇ)【写真1】と「三陸さぁ まだきしゃっせんよ!」(三陸に,またいらっしゃいよ)【写真2】です。
「三陸」と言っても広いのですが,ここでは「気仙地域」を指しています。三陸鉄道には,ケセン語の地域を走る「南リアス線」のほか「北リアス線」がありますが,この両メッセージは,北リアス線の地域では聞かれない,ケセン語の表現です。南リアス線の一部の車両に掲示され,両方とも大船渡市の国立公園内の有名な景勝地の写真が使われています。
また,大船渡市の「恋し浜」(こいしはま)駅にもあります。「寄ってがっせんやぁ~ 恋し浜駅」(寄ってらしてくださいな 恋し浜駅)【写真3】です。
「がっせん」は「ございませ」(「ございます」の命令表現)に由来します。同じ由来から,日本語(?)岩手県盛岡方言や遠野方言では「がんせ」【写真4】,岩手県宮古方言では「がん/がーん」となります。
「がんせ」の終止形が「がんす」で,第21回の「がんすけどん」のもとです。
なお,「恋し浜」駅は,以前は「小石浜」駅でしたが,駅名(表記)を昨年2009年7月20日に改めました。新しい表記は,駅誕生のとき(1985年),それを祝って地元住民が詠んだ短歌「三鉄の 愛(藍)の磯辺の 小石(恋し)浜 かもめとまりて 汐風あまし」【写真5】にちなんだものだそうです。