地方新聞は、地域に取材した記事を豊富に掲載し、読者に地元の情報をきめ細かく提供して地域密着を図っています。
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この2月1日から、大分県の『大分合同新聞』は、「方言の連載」を始めました。
毎日1語ずつ、朝刊の紙面トップの第1面に、カラーの枠囲みで「教えて! ぶんぶん 大分方言」として出題し、「どのページかな? こたえを探してね」と呼びかけ、別の面に、これも必ずカラーの扱いで「こたえ(意味・用法)」を載せています。
日によって「こたえ」の載っている面は異なりますから、どこに載っているかを探す過程で、できれば他の記事にも目を留めて読んでほしいという、編集者の願い(ねらい?)も伝わってきます。
ごく小さい記事ですが、カラーで枠囲みですから、それだけに目を引き、関心を持たれやすい工夫だといっていいでしょう。
「ぶんぶん」というのは、『大分合同新聞』のイメージキャラクターのミツバチです。
「新聞」の「ぶん」でもあり、大分県の旧国名「豊前・豊後」の「ぶん」でもあり、県内をあちこち飛び回って蜜(話題や情報)を集めてくるはたらき蜂のように、人と人とをつなぐメディアとして、地域の人たちにとってなくてはならない存在でありたいという思いを込めて命名されたものだということです。
問題の出題者は、毎年10月に豊後高田市で開催されている「大分方言まるだし弁論大会」(この連載の第73回で紹介)の昨年の優勝者・糸永隆章さん(私立高校校長)です。
読者もこの連載を楽しみにしている人が多いようで、早速「読者の声」欄(2月13日朝刊)において、「「方言コーナー」楽しみ」という題で、由布市の73歳の女性からの「方言は親しみ深く、上品な言葉より懐かしさがあり、方言で話していると笑顔も絶えません。大分方言で私も力づけられ、新聞に載る明日の方言は何かなと、楽しみにしています」という投書が紹介されました。
方言の見直しと再確認に、こういった形での連載は、なかなか効果がありそうです。
編集部から
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。方言研究の第一線でご活躍中の先生方によるリレー連載です。