今回は、「くいだおれ」で名高い大阪府をとり上げます。大阪の「おいしい方言」は、他府県にくらべるとさすがと思わせる迫力のある表現があります。
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例えば、まず、「ホンマにうまいんやろか【写真1】」(ほんとうにおいしいのだろうか)と問いかけます。「うまいか、うまないか、自分で食べて確かめてみい【写真2】」(おいしいか、おいしくないか、自分で食べて確かめてみなさい……ソウシヨウカナ?)。「おばちゃんがおいしい言うとんやから間違いあらへん。買っとき【写真3】」(おばさんがおいしいと言っているのだから、間違いはない。買っておきなさい……マチガイナイノカナ?)とまあ、こんな調子です(カタカナの部分は、筆者がみなさまの心理を想像して書いた部分です)。
箱の6面全部をフルに使って、「自分で確かめてみい」「買っとき」「食べてみんと、わかりまへんで」(食べてみないとわからないよ)とたたみかけます。そして、最後のきわめつけは、「どや、うまいやろ?【写真4】」(どうだ、おいしいだろ?)というわけです。せんべい一箱(600円ぐらいだったと思います)を買うのにも、問いかけ→さそい→ややおしつけ→確認というシミュレーションが方言によってできるのですからすごい買い物です。
ところで、大阪限定品に「めっさ!!うまい【写真5】」という表現が使われています。「めっさ」は「超」や「とても」という意味です。同じく大阪限定品ですが、「めっちゃうまい!【写真6】もありますから、併用といえましょう。
最後に「まちごうてたべたらあかんで~【写真7】」(まちがってたべてはいけませんよ~)と、たこやきの絵が描かれたなにわ風あぶらとり紙をご紹介して終わりにします。いやはや、おなかが空きました。あぶらとり紙が入ったたこやきの絵が本物に見えます。
編集部から
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。方言研究の第一線でご活躍中の先生方によるリレー連載です。