製作者へのインタビュー
「おまんた えますぐ使える えっちょまえの上越弁」の脚本・演出など、全般にわたって関わられた滝沢いっせいさんにお話を伺ってみました。
●脚本の場面は、どのように選ばれましたか?
「やわやわ生活篇」は、ひと組の家族や井戸端会議の奥様方を軸に、日常生活のなかで、どのように高田言葉が使われるかを主眼に構成しています。非日常的なシーンよりも、聴く方だれもが、「自分ならこうしゃべるところだ」「標準語ならこう話す」と想像できる、ごくありきたりな日常の方が、高田言葉の特徴をつかみやすいと考えたのです。
シーンは、全くの想像で書きました。が、川に落ちた人の話などは実話です。
「高田の四季篇」は、高田在住者なら誰でも知っている市民歌「高田の四季」からタイトルだけをもらいました。
憲法前文は、いろんなお国ことばで言ってみると……という運動が全国でなされており、それに乗っかって行なってみました。
●録音で苦労されたことはありますか?
高田言葉の部分は、地元の読み語りの会のメンバー、地元のアマチュア劇団の座長さんらにお願いしました。60代のご婦人方は、案に相違して、高田言葉をあまり話せなかったので苦労しました。高校生の若者たちも全く話せませんでした。監修者にもなった有沢栄一さんを主とした指導によって、なんとか形にできたというところです。
●CDを購入された方の反応はいかがですか?
概ね好評のようです。「もっと簡単なものかと思ったら、ちゃんとしていて驚いた」などの声を聞いています。また、故郷を離れて首都圏等にいらっしゃる方々からは、「郵送前から待ち焦がれていた」「聞いて涙が出た」「父母や祖父母を思い出した」といった声を寄せていただいています。
●上越市内の全小中学校に寄贈されたとのことですが、反響はいかがですか?
直接のリサーチはしておりません。残念ながら、あまり活用されていないかも……と感じています。
●直江津言葉の製作も計画されているとのことですが……。
資金のめどが立ちませんが、関西に近い糸魚川言葉にも、興味を持っています。
追加情報ですが、今年度中に、「新潟ことばシンポジュウム」を開こうと、有沢さんとともに計画しています。各地からネイティブスピーカーを集め、寸劇あり、お国自慢ありの楽しいものにしたいと考えています。
地域の言葉の過去と現在、そして未来を見つめた企画だということがわかります。こうした動きが各地に広まると楽しいですね。