青森県で見つけた、方言に関するお菓子を2つご紹介しましょう。(第52回、第212回も参照)
まず最初は、弘前市の『青森だけのきみようがん』です。
①「青森だけの……」と聞くと、他では手に入らないような珍しいものなのか?と思いますし、続く②「きみようがん」とは、はて何のことだろうか?と考えてしまいます。
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①は実は、弘前市の西にそびえる岩木山の麓に「嶽(だけ)」と呼ばれる地域があり、朝晩と日中の気温差が大きくて、夏には非常においしいトウモロコシが採れることで有名なのだそうです。②はトウモロコシを地元では「きみ」といいますが、トウキビのキビが変化したもの。「ようがん」は「羊羹」のことです。
箱の裏に、「きみようがん」の由来が書かれており、そのような説明が載っています。
中身は羊羹としては珍しい黄色い色をしており、トウモロコシの味がして、中にはトウモロコシの粒も入っています。
もうひとつは、『青森方言豆知識』です。袋の中には卵を活かしたクッキーのようなせんべいが入っており、表面には豆=落花生がのっています。
箱には、県西部の「津軽方言」と東部の「南部方言」の違いが対比してあります。
津軽弁 おろー [あらら] どさ [何処へ]
うじゃめぐ [寒気がする] えふりこぎ [見栄っぱり]
ごんぼほり [駄々をこねる] へば [じゃあね]
まいね [駄目だ] どんだんず [なんなんだ]
もつけ [調子に乗る] あずましい [気持ち良い]
南部弁 ちゃっちゃっど [さっさと] さぎまる [先回りする]
いぎしま [行きがてら] でんで [誰]
ごっつりする [いい気になる] なんたかった[どうしても]
ぐれっと [根こそぎ] むんつける [すねる]
わがね [駄目だ] んだすけよ [そうだよね]
以上のような、それぞれの地域に特有の方言語彙が挙げられており、県内でのことばの地域差の一端を表しています。
箱の裏には、弘前市の販売店の名前がありますが、実は、作っているのは遠く離れた岐阜県のお菓子の会社だとのこと。
そのことについては、次回、詳しくご紹介することにします。