大分には,出張で訪れる人たちのために,お勧めの場所や観光スポット,ホテル,店舗・飲食店,特産品・みやげものなどを紹介する情報誌=出張ビトのための大分満喫本『大分出張』(発行・編集 大分合同新聞社 季刊 32ページ)があります。空港や駅,観光案内所,大分市・別府市内のホテル,道の駅など,県内の主要なところに置いてあり,無料ですから,自由に持ち帰ることができます。毎回5万部が発行されているということです。
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vol.15(2015年春号)では,特集記事のひとつとして「大分方言」を取り上げ,カルタ形式にして何枚かにはイラストも付け,4ページにわたって単語や表現とその意味・用例を紹介しています。【写真】
この特集のねらいとして,「出張先のあるあるのひとつが方言が理解できないこと。取引先のお偉いさんの言葉がわからない。隣合わせた美人との会話が弾まない。地元の方言を使えば,ぐんと距離が近づくものです。個性あふれる大分の方言をカルタ形式でご紹介。これだけ覚えればあなたも大分県民に!?」とあります。
元は地元紙『大分合同新聞』に「教えて! ぶんぶん【大分方言】」として2010年2月1日から2013年3月31日まで長期連載され,のちに約200語を加筆して『大分方言語録』(2014年3月 大分合同新聞社刊 約1300語を収録)として単行本化された本の中から取られています。(この連載について詳しくは,第93回 『大分合同新聞』の「方言連載」を参照)
そのカルタの中からいくつかを紹介すると……「おうちゃきい」〔横着だ〕,「げさきい」〔下作な。下品な〕は共通語だと形容動詞で「~な」となるところですが,大分では形容詞形での言い方が一般的です。「あっちあられん」〔とうていあり得ない〕,「ぎゅうらしい」〔大げさな。仰々しい〕,「つるっとする」〔居眠りする。いつのまにか短い眠りに落ちる。まどろむ〕,「てれんぱれん」〔ちゃらんぽらん〕,「ぬれっと」〔隠れてずうずうしいことをするさま。しれっと〕,「ふうたらぬりい」〔①遅い,②生ぬるい〕などは,音の響きが独特で,いかにも方言らしい語感と印象を残すことばです。
「なば」は〔①きのこ,②活力がない様子。普通「なばになっちょる」と使う〕とあります。「なば」はきのこ一般,特に大分の代表的な特産品のシイタケのことを指しますが,それがちょっとナーバスで元気のない状態を指す意味でも使われるとは,面白い表現です。
「にごじゅう」も〔①(2×5=10のように)当たり前のこと ②無条件降伏すること〕という意味で年配の人の間では今も聞かれる表現ですが,よく語源・由来が話題になります。②無条件降伏すること,とはつまり〔お手上げ〕という意味ですが,両方の掌を顔の横で広げると5と5で10,それはまさに「お手上げ」のポーズですから,〔無条件降伏〕の意味あいになるのだと考えられます。これまた何とも面白い言い方です。