英語辞書攻略ガイド

(4) こんなにある英和辞典の種類(その2)

筆者:
2008年4月25日

前回に引き続き,英和辞典を種類別に見ていきます)

中級学習英和辞典

高校1年の授業から難関大学を含めた大学入試まで,あらゆる分野に対応する学習英和辞典の万能選手です。大学に入ってからも,必修の英語科目などには十分過ぎる情報量ですので,高校生はもちろん,「電子辞書を買ってはみたけれど,使いにくい」と感じている大学生の皆さんにもおすすめします。

電子辞書化されている辞書は少ないですが,冊子辞書の種類は非常に多く,各社が競い合って本文の見やすさ,引きやすさに工夫を凝らすとともに,付録,囲み記事といった付加的な情報を充実させています。以下は,『グランドセンチュリー英和辞典』の紙面ですが,重要語を大きな書体にしたり,多義語は一番最初に語義を要約して色刷りで表示するなど,冊子辞書を研究し尽くし,引きやすさを徹底的に追求していることがうかがえます。

award, awareの見出し書体は大きく

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多義語awayの冒頭には語義要約パネル

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句動詞を囲みにまとめて表示

巻頭には,場面別の会話表現集や発音記号の読み方に関する詳しい解説もあり,ホームステイに行く高校生から,英語音声学など,大学の専門科目の導入に至るまで,幅広い層の学習者に対応しています。このような特徴は,「紙」という原始的なメディアだからこそ実現できるものであり,最新の電子辞書でさえ及びません。

英語の先生方が日常的に使うには物足りない規模の辞書かもしれませんが,教材研究の際には,重要な事項を精選してわかりやすい解説がされているので,とくに教える内容を絞り込む際には重宝するでしょう。ついつい細かなことまで教えてしまいがちな教育実習生にもすすめたいタイプの辞書です。

筆者プロフィール

関山 健治 ( せきやま・けんじ)

1970年愛知県生まれ。南山大学大学院外国語学研究科英語教育専攻修士課程修了(応用言語学),愛知淑徳大学大学院文学研究科英文学専攻満期退学(英語辞書学・語用論)。現在,沖縄大学法経学部准教授。

著書に『辞書からはじめる英語学習』(2007,小学館),『ウィズダム英和辞典第2版』(共同執筆,三省堂,2006),訳書に『英語辞書学への招待』(共訳,大修館書店,2004),『コーパス語彙意味論』(共訳,研究社,2006)などがある。

編集部から

新学期にあたり,英語辞書界にこの人ありと言われる関山健治先生に,英語の辞書に関する有益な情報を短期集中連載していただきます。