(伊藤事務機タイプライター資料館(4)からつづく)
伊藤事務機タイプライター資料館には「Blickensderfer No.7」も展示されています。「Blickensderfer No.5」と同様、ブリッケンスデアファー(George Canfield Blickensderfer)が、コネチカット州スタンフォードで製造していたタイプライターです。伊藤事務機の「Blickensderfer No.7」(製造番号61155)は、トップカバーが黒く、かつ、トップカバーのネジ止めが左右それぞれ1つずつであることから、1897年から1900年までの間に製造されたモデルだと考えられます。
「Blickensderfer No.7」の特徴は、「Blickensderfer No.5」と同様、タイプ・ホイール(type wheel)と呼ばれる金属製の活字円筒にあります。タイプ・ホイールには84個(28個×3列)の活字が埋め込まれており、このタイプ・ホイールが、プラテンに向かって倒れ込むように叩きつけられることで、プラテンに置かれた紙の前面に印字がおこなわれるのです。
伊藤事務機の「Blickensderfer No.7」のタイプ・ホイールは、かなり摩耗しているものの、上の列に、小文字の活字がzxkg.pwfudhiatensorlcmy,bvqjの順序に、上から見て時計回りに埋め込まれています。真ん中の列には、大文字の活字がZXKG.PWFUDHIATENSORLCMY&BVQJの順序に埋め込まれています。下の列には、記号や数字の活字が-^_(./’”!1234567890;?%¢$)@#:の順序に埋め込まれています。この「Blickensderfer No.7」のキー配列と同じ順序であり、上段のキーほど、タイプ・ホイールが大きく回転する仕組みになっているのです。大文字はキーボード左端の「CAP」キーを、記号や数字は「FIG」キーを、それぞれ押すことで印字され、実際にはタイプ・ホイールの高さが変わる仕掛けになっています。
「Blickensderfer No.7」のもう一つの特徴は、巨大なスペースキーです。下段中央「T」と「E」の間に始まるスペースキーは、そのまま左右に下段のキー全体を覆う形で広がり、あたかもキーボードの外枠であるかのような形をしています。この点は「Blick No.7」と同様で、「Blickensderfer No.7」と「Blick No.7」がほぼ同じデザインだったことがわかります。