どういう意味?
『大辞林 第三版』では「紅葉が錦(にしき)のように色鮮やかな秋。「 ─ の候」 」とあります。
もう少し詳しく…
「錦」を『大辞林』でひいてみると「①種々の色糸を用いて華麗な模様を織り出した織物の総称。」とあり、「②色や模様の美しいもの。「紅葉の ─ 」「みわたせば柳桜をこきまぜて宮こぞ春の ─ なりける /古今 春上 」」とあります。
いつごろに適したことば?
10~11月ごろに使われます。野山が色づいたころに適していますが、関東地方は気象庁のウェブサイト内「紅葉の見ごろ予想」などを参照するといいかもしれません。
使用例は?
「錦秋の候」「錦秋の砌(みぎり)」など
似た表現は?
「紅葉」も似た使い方ができます。「紅葉の候」「紅葉の砌(みぎり)」など。
ちなみに…
紅葉といえば…
「三省堂デュアル・ディクショナリー」のWeb版『大辞林 第三版』で「紅葉」を検索すると(*)、語釈の後に[類語情報]というボタンが表示されます。それをクリックすと、「銀杏黄葉(いちょうもみじ)」「薄紅葉(うすもみじ)」「草の錦(くさのにしき)」……とあります。
そこに出てくる「紅葉(こうよう)」をひくと「秋、落葉に先だって葉が紅色に変わる現象。葉柄の基部に離層が形成されて、移動できない糖類が赤色のアントシアンに変わるために起こる。カエデ属に特に著しい。 「全山 ─ する」 」とあります。
また「黄葉(こうよう)」も出てきます。こちらは「秋、落葉に先だって葉が黄色に変わる現象。クロロフィルが分解し、残っている黄色のカロチノイド色素が目立つために起こる。イチョウなどに著しい。」とあります。
「紅葉・黄葉(もみじ)」には「〔動詞「もみず」の連用形から〕①〔古くは「もみち」〕秋の終わりごろ、木の葉が赤や黄などに変わること。また,色づいた葉。[季語]秋。「山々が美しく ─ する」②イロハモミジおよびその近縁のカエデ類の別名。③「紅葉襲(がさね)」に同じ。④鹿の肉の俗称。「人さまのはなしをきくと牡丹や ─ はあんまり薬ぢやあない /安愚楽鍋 魯文 」⑤家紋の一。「楓(かえで)紋」の別名。」
こう調べてくると、一般的には「紅葉」なのか「黄葉」なのかと疑問が起こりますが、『全訳読解古語辞典 第三版』で「もみぢ」をひいてみると「①木や草の葉が赤や黄に色づくこと。また、その葉。『万葉集』では大部分が「黄葉」の字を、平安時代以降は「紅葉」を当てる」と載っています。[読解のために]には次のように書いてあります。
『万葉集』の時代、大和地方の人々は、紅葉よりも黄色い葉を好んで観賞したと見る説もあるが、六朝(りくちょう)から盛唐に至るまでの中国の漢詩文が大部分「黄葉」の文字を用いているので、その影響が大きいと思われる。なお、『白子文集』などは逆に「紅葉」の例が多く、わが国の漢詩文でも次第に「紅葉」の用字が定着した。
(*)「三省堂デュアル・ディクショナリー」のWeb版を使用するには対象辞書(ここでは『大辞林 第三版』)を御購入の上、登録手続きが必要です。