高速鉄道は「高鉄」と略され、以前、大きな事故があったが、皆利用しているとのことだ。中国国内の一部でしかまだ走っていないが、その速さをしても5時間かけて移動ということはざらだそうだ。
かつて上海-杭州間の高速道路を、自動車で3時間かけて飛ばしてもらったものだが、今では道や橋ができたとか鉄道が通じたとかで近くなったそうだ。20分ちょっとで着いてしまうようになったと留学生たちは言う。
北京市内の駅名を眺めると、漢字ではあるが日本とは違う。
長椿街 ツバキではなく、チャンチンか霊木を指すのだろう。
木(木+犀)地 2字目はシー(xi1)。木犀(モクセイ)のことで、木偏は付けなくても良いが、固有名詞としては付いている。
五(木+果)松 2字目は量詞(助数詞)で、五本松といったところだろう。
「胡同」の2字も見られた。フートンと読む。もとはモンゴル語であったのは、さすが北方の地である。元朝の首都だっただけに深く定着し、こうした駅名や地名に息づいているのだろう。かつてはこの2字を「行」で挟んだ造字による表記も行われた。
ただ今やフートンそのものが開発によってほとんど失われたそうだ。北京も急速に変わったという。そう語る50代の方々は、文革で相当な苦労を経験しているという。
「女人街」は香港にもあるが、北京にもできていた。女性向けの服などがたくさん並んでいる。
地下鉄で、吊り革の広告をふと見たら、女性の写真があり、その名前には見たことのない漢字が小さく印刷されていた。
つまり「幕」の草冠を「冖(わかんむり)」に換えたものだ。
最初、「冥」の音「ming2」かと思った。中国の人たちは「min4」かという。ローマ字では「MI」とも書いてあった。女優だろうか。日本でも数学で使うことがある「冪」(ベキ 覆い)の簡体字だった。「くさかんむり」を省くところがどことなく日本的ではない。日本では、それもあったかもしれないが、江戸時代の和算以来、数学の世界では「内」のような字体、「巾」や、それらを組み合わせるなどの略字化が行われてきた。集団や場面に限定される位相文字と見ることができる。どこを省くか、抜き出すかに差が感じられる。
日本円を人民元に換えたい。しかし街中での両替は、厳重な銀行の窓口のようなところに行く必要があり、手間がかかる。買い物は海外での醍醐味なので、書類を埋めて並んで待つ。
本屋があるが、入れば絶対に本を買いたくなってしまう。買い込んで、人民元が足りなくなったこともあった。書物はたまると重いし、かさばるため旅行鞄に入りきらなくなる。帰りに空港のカウンターで、20キロぐらいオーバーしていると言われたこともあった(なぜかおまけしてくれたのは、ありがたかった)。
日本で買うよりも断然安いといって面白そうな本をついつい買ってしまった。日本で片付けてみたら、すでに持っていたというものも何冊かあった。