英語由来のカタカナ語なのに、英語とは意味が違う。今回は、「ドライ」をみてみたいと思います。
「乾いている」
ドライとは、まずは「乾いている」という意味ですね。「エアコンをドライで入れる。」とか「内部をドライに保つ」などのように使われます。この意味では、英語のdryとほとんど同じように使うことができますね。
複合語として使われるときはどうでしょうか。「ドライ」を含む複合語には、「ドライフラワー」「ドライクリーニング」「ドライフルーツ」「ドライアイス」「ドライスーツ」などがありますが、これらを英語でいうとき、dryをそのまま使えるでしょうか。実は、dryを使うものとdriedの方がよいものとに分かれるのですが、あなたは区別がつきますか?
正解は、
ドライフラワー=dried flower
ドライクリーニング=dry cleaning
ドライフルーツ=dried fruit
ドライアイス=dry ice
ドライスーツ=dry suit
です。わかりましたか?
違いは、「もともとは水分があるものを乾かして作ったもの」にdriedをあてます。driedは、動詞dryの過去分詞です。dried flowerとは、受身の「乾かされた花」という意味なのですね。ドライアイスなど、そもそも乾いている(べき)ものや水を使わないものには、dryをそのまま形容詞的に使ってOKです。
人の性格やものごと
ドライというカタカナ語には、もうひとつ意味があります。「ドライな性格」といえば、あまり感情的にならず、ものごとにこだわらない人のことを指します。また、「ドライに割り切る」という場合、合理的に考え、感情や人情にとらわれずにものごとを進めるようすのことですね。
このような場合、英語ではなんといったらよいでしょうか。結論からいうと、このような場合にdryという語を使うことはありません。感傷にとらわれないことをドライと表現するのは、日本語独自の表現だといえるでしょう。
人の性格を「ドライだ」という場合は、感情的にならないということなので、unemotionalとか、unsentimentalなどといえますね。また、冷静だったり実際的だったりするさまをあらわすには、coolとかcalm、practicalのような語を使ってもよいかもしれません。
ものごとをドライに進めるさまをあらわすのであれば、systematicとか、businesslikeのような語が使えます。「ドライに」と副詞的に言いたければ、in a businesslike mannerのような言い方もよいですね。businesslikeは、日本語のビジネスライクのように相手を非難する含みはあまりなく、冷静に、能率的に仕事をするさまが表現できると思います。
日本語が母語の方は、つい×He is dry.のように言いたくなってしまうのではないでしょうか。比喩表現として理解してもらえることもあるかもしれませんが、一般的にはそのような言い方はしない、と考えておくとよいでしょう。