出典
戦国(せんごく)策(さく)・秦(しん)策
意味
各国と同盟しあう。いろいろと外交手段を用いて政略をめぐらす。人々といろいろに交渉する。「合従」は「合縦(がっしょう)」に同じ。「従」は「たて」の意で、南北を合わせること。「連衡」は「連横(れんこう)」に同じ。東西を連ねること。
原文
蘇秦始将二連横一、説二秦恵王一曰、大王之国……天下之雄国也。……可下以并二諸侯一、呑二天下一、称レ帝而治上。
張儀説二秦王一曰……臣聞、天下陰レ燕、陽レ魏、連レ荊固レ斉、収二余韓一成レ従、将二西面以与レ秦為一レ難。
〔蘇秦(そしん)始め将(まさ)に連横(れんこう)せんとし、秦(しん)の恵王(けいおう)に説きて曰(いわ)く、大王の国……天下の雄国なり。……以(もっ)て諸侯を并(あわ)せ、天下を呑(の)み、帝と称して治むべし、と。張儀(ちょうぎ)、秦王(しんおう)に説(と)きて曰(いわ)く……臣聞く、天下燕(えん)を陰にし、魏(ぎ)を陽にし、荊(けい)を連ね、斉(せい)を固め、余韓(かん)を収めて、従(しょう)を成し、将に西面して以て秦と難を成さんとす、と。〕
訳文
蘇秦(そしん)は初め六国(りっこく)のいずれかと秦(しん)が連盟して、そのあとで各国を撃破させるという連衡(れんこう)の策を、秦王にとらせようとして、秦の恵王(けいおう)に次のように説いた。「大王の国は、(国土は地の利を得て、しかも豊かで、)中国全体の中で最も強大な国です。(王の知略と兵法の巧みさをもってすれば、)諸侯を併合し、中国を征服し、帝ということができるようになるでしょう。」張儀(ちょうぎ)は秦王に向かって次のように説いた。「中国では燕(えん)が小国、魏(ぎ)が大国で、楚(そ)と連合して、斉(せい)を固め、韓(かん)を巻き込んで、南北に連合し、西のかた秦に当たろうとしております。」
解説
戦国(せんごく)時代、楚(そ)・斉(せい)・燕(えん)・韓(かん)・魏(ぎ)・趙(ちょう)の六国(りっこく)は、西から迫る強国秦(しん)との対応に苦慮していた。西の秦と東国が連盟することを説く連衡(れんこう)策と、六国が南北に同盟して秦に当たろうとする合従(がっしょう)策が対立した。蘇秦(そしん)は、最初は連衡策を唱えていたが、のちに合従策を主張した。張儀(ちょうぎ)は初め合従策を唱えていたがのちに魏と秦との連盟を策し、連衡策の第一人者となった。