[意味]
さして重要でもないこと。
[補説]
必要でもなく、急いでもいない意から。
(新明解四字熟語辞典 第二版から)
*
決して新しいというわけではありませんが、「不要不急」は新型コロナウイルス禍に見舞われた2020年を象徴する新四字熟語と言えるのかもしれません。日本経済新聞朝夕刊での出現記事件数は、例年は30件前後なのですが、2020年は840件と突出していました。この10年で比較的多かった2011年(105件)の実に8倍。同年は東日本大震災で、嗜好品やレジャーなどの「不要不急の消費が冷え込んだ年」と言われています。
昨年2月ごろから新型コロナの感染拡大を防ぐ目的で「不要不急の外出を控えましょう」との呼びかけが各地で始まりました。イベントの中止や延期が相次ぎ、「不要不急」の基準とは何か、文化・スポーツは不要なものなのか、といった議論まで起こりました。簡単に線引きなどはできるものではありません。感染を防ぐ意味では仕方がなかったとはいえ、選抜高校野球、東京五輪・パラリンピックなどの中止・延期が決まり、同様にその年、その時にしかできない多くの物事が行われずに時間が過ぎていきました。無念の思いをした人は決して少なくないはずです。
私も20年以上追い続けてきた目標に手が届くところまできて、到達できない憂き目に遭わされました。心の中にぽっかりと穴があいてしまったような日々が続きます。多くの人にとって2021年こそは、目標に挑戦することができるような年になってほしいものです。
国内でもワクチンの接種がようやく始まりました。2年ぶりの選抜高校野球もさまざまな制約のなか甲子園球場で開催中です。世の中の動きが少しでも「コロナ前」の状態に近づき、新聞から「不要不急」の語が減るような社会になることを望んでいます。この欄でも明るい話題の四字熟語を取り上げられるように。
* * *
新四字熟語の「新」には、「故事が由来ではない」「新聞記事に見られる」「新しい意味を持った」という意味を込めています。