[意味]
人工知能(AI)やキャッシュレス決済のノウハウを使い、レジ店員を不要とした小売店舗など。
[関連]
無人販売
*
先日、漢和辞典編集者の円満字二郎さんと四字熟語に関するオンライン座談会で話をする機会がありました。これは日本漢字能力検定協会が2月に実施した「好きな四字熟語アンケート」の結果について、2人で講評するという企画です。
いろいろな四字熟語が好きな理由とともに応募されてきましたが、なかでも私の一推しは「無人販売」でした。「一期一会」「臥薪嘗胆」など故事を由来とした正統なものがたくさんあるなかで、私が気になってしまうのはどうしても「新四字熟語」。応募されたのは30代の方で「今までは、おばあちゃんが畑でとれたお野菜を売っているイメージでした。新型コロナウイルスの影響下にある昨今では、対面する必要のない販売方法として、大きな可能性を秘めていると感じます」という理由に、実に時代をよく表しているなと感心したものです。
新聞では「無人販売」よりも関連語の「無人店舗」のほうが多く登場します。2011~2020年の日本経済新聞で「無人店舗」が出現した記事件数を見ると、2017年から増加傾向となっています。初めはセルフレジの導入など人手不足に対応するための無人化でしたが、2020年は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う非接触ニーズの高まりから無人化が注目されました。
「無人販売」では地方ののどかな販売風景を思い浮かべ、「無人店舗」ではカメラやセンサーで来店客の行動を分析しキャッシュレス決済をする最先端の店がイメージされるのかもしれません。同じ「無人」でも、無人販売にはどこか人のぬくもりが感じられる気がしてきます。
アンケート結果と座談会については漢検ウェブサイト「漢字カフェ」で記事が3回にわたり公開されています。四字熟語の魅力と魔力?に興味のある方はぜひお読みください。
座談会の記事はこちら。
https://www.kanjicafe.jp/detail/9549.html
* * *
新四字熟語の「新」には、「故事が由来ではない」「新聞記事に見られる」「新しい意味を持った」という意味を込めています。