[意味]
実施を公表しないで行われる為替介入。(大辞林第四版から)
[類義]
為替介入
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2024年の春から夏にかけて外国為替市場は円安が一気に進行。7月3日の東京市場では、一時1ドル=161円94銭をつけて、1986年12月以来、37年半ぶりの円安・ドル高水準を更新しました。
4~5月の大型連休中にあった急激な円安局面では、政府・日本銀行による過去最大の円買い・ドル売り介入が実施されたとみられています。財務省が5月末に公表した4月26日から5月29日の為替介入実績は総額9兆7885億円。4月29日は一時1ドル=160円台から154円台まで円高が進み、5月2日早朝には157円台から4円ほど円が上昇しました。当局がその事実を明らかにしない「覆面介入」は、市場を疑心暗鬼に陥れ、円安の流れを強くけん制する効果があるとされます。
記事データベース「日経テレコン」で、日本経済新聞での「覆面介入」の出現記事を検索したところ、最古の例はちょうどバブル経済期。1989年6月9日付朝刊の金融・為替面に掲載の「次なる作戦は覆面介入」という記事では「日銀が東京市場で“新手”の介入手法を使い始めた」とありました。当時の円相場は1ドル=140~143円で、円買い・ドル売り介入が実施されています。
以降、「覆面介入」の出現記事件数を1年ごとにグラフ化すると、例年1ケタ台が続くなか、2003年だけが38件と突出。この年の円相場は1ドル=106~121円で、急激な円高が輸出企業の業績の重荷になることから、断続的に円売り介入が行われています。
翻って円安が進む昨今。「悪い円安」がユーキャン新語・流行語大賞のトップ10に入ったのは、円相場が150円台まで下がった2022年のこと。160円台をつけた2024年は「円弱の時代」(小栗太・日本経済新聞社編集委員)とも言われます。2025年の円相場はどのように動いていくのでしょうか。
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新四字熟語の「新」には、「故事が由来ではない」「新聞記事に見られる」「新しい意味を持った」という意味を込めています。