[意味]
米国の利益を最優先とした政策の実行。米国第一主義。
*
1月20日、ドナルド・トランプ氏が米国の第47代大統領に就任しました。2024年11月の大統領選挙で再選を果たし、4年ぶりに2期目の任期がスタート。2025年はあらためて「米国第一」がキーワードになると予想されます。
グラフを見てください。記事データベースの日経テレコンで2000年以降に日本経済新聞朝夕刊に「米国第一」が出現した記事件数を1年ごとに示したものです。2000年から2015年の16年間で「米国第一」が紙面に登場したのはわずか3件。これが、トランプ氏が1回目の大統領選に出馬し当選した2016年に突如90件に跳ね上がると、大統領に就任した翌2017年は最多の419件を記録しました。
以降はやや減少傾向となり、バイデン政権下ではさらに数は少なくなり2桁が続いていましたが、トランプ氏が大統領への返り咲きを決めた2024年は前年の約4倍の127件にもなりました。「米国第一」はまさにトランプ氏とともにある語のように感じられます。2017年のユーキャン新語・流行語大賞トップテンに「○○ファースト」が選ばれたのも、トランプ氏が繰り返し発した「アメリカ・ファースト(米国第一)」が影響したものです。
「米国第一」は、米国が自国経済の立て直しを最優先し、国際社会での安全保障や通商秩序への関与をやめ、負担を引き受けないという政策。かつては第2次世界大戦への米国参戦に反対するスローガンなどとしても使われたことがありましたが、2016年のトランプ氏の登場で一気に広まりました。
第1次トランプ政権では、輸入関税の引き上げや環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱、北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しなどといった「米国第一」政策が実行に移されています。2期目では就任直後から大量の大統領令に署名し、パリ協定、世界保健機関(WHO)からの離脱などバイデン前政権からの政策転換を打ち出しました。
世界を翻弄し続けるトランプ大統領。2025年は「米国第一」の出現記事がかなり増えるといえそうです。
* * *
新四字熟語の「新」には、「故事が由来ではない」「新聞記事に見られる」「新しい意味を持った」という意味を込めています。