知人から、自宅で可愛がっているフェレットたちについて、何度か話を聞いたことがあります。中に病弱なフェレットがいて、知人がいつも献身的に看病していると聞いた時には、胸が痛みました。我が身よりも大切に思っている様子が伝わってきました。
見せてもらった写真の感じから、ハムスターのような小動物を想像していたのですが、フェレットはイタチの仲間です。実物は子猫ほどの大きさで、ひょろ長い胴をしています。
専門のペットショップで観察すると、おりの中をちょろちょろ歩き回り、口をしきりに動かしてえさを食べ、客が来ると、前脚でおりにつかまって立ち上がります。ひとことで言えば、活発で愛嬌のある動物です。なるほど、愛される理由が分かります。
このフェレットを、『三省堂国語辞典 第六版』の項目に選びました。原稿を書くためには、当然の手続きとして、百科事典を含む専門の事典を参照します。でも、その記述をなぞるだけでは、適切な語釈にはなりません。
事典によれば、フェレットは白色とありますが、ペットショップには褐色のもいます。また、古代に飼われたがしだいに飼われなくなったとか、ニュージーランドでネズミ退治に使われるとか、一般に実験動物として飼われるとかいう説明も、今日普通に言う「フェレット」のイメージとずれます。というのも、私たちがフェレットを話題にする場合は、何よりもまず、ペットとして取り上げるはずだからです。
ペットとしてのフェレットがどういうものかを知るためには、インターネットが役に立ちます。非常に多くの人が、「我が家のフェレット」について、ブログなどで熱く語っています。写真も満載です。これらのサイトを、ちょうど一軒一軒のお宅を訪問するように閲覧していくと、飼い主がどういう目でフェレットを見ているかが分かります。
とりわけ、家の中での様子が具体的に分かるのは、「YouTube」などのサイトに集まるビデオ画像です。どのビデオを見ても、フェレットたちは非常に敏捷に動き回っています。かつまた、飼い主に積極的にじゃれつきます。これで可愛くないわけがありません。
この積極性については、百科事典にも〈人によくなれ活発に遊ぶ〔ので古代に飼われた〕〉と記述があります。最終的に、『三国』の「フェレット」の説明は、〈イタチのなかまの小動物。活動的で よく人になれるので、ペットにする。〉となりました。