−語法注記: if A should [were to] do, . . . −
語法注記はコーパスを活用した研究成果を最も発揮しやすいところである。『ウィズダム英和辞典』では,そのようなコーパスを活用した研究成果ならではの情報には[コーパス]というレーベルをつけて表示している。ここには,従来からある説明をコーパスでより詳細に検証したものから,コーパスで検証中に遭遇した新たな発見に至るまで,いろいろなものが扱われている。今回は後者の例を紹介しよう。
if A should do . . . と if A were to do . . . は高校英語では必須の文法項目であるが,両者は「万一…すれば」のようにほぼ同じ意味で用いると説明されたり,上級者向けのやや詳しい解説では,were to の方が should より実現可能性が低い場合に用いられるといった説明が見られる。このことを検証しようと,if 節の中に were to が現れる用例と should が現れる用例を観察していると,興味深い現象に気づく。were to を含む if 節の帰結節では,would,might,could などの仮定法過去形が一般的であるのに対して,should を含む if 節の帰結節では,would,should,might をはじめ,be going to,will,命令文,法助動詞を含まない形などが現れることも少なくない。仮定法過去を使うより,当然これらの表現を使う方が確信度は高まる。
- If something should happen, just call this number.
- If something should happen to us, the Navy will at least have partial records of what happened.
- If anything should happen, I’m going to be fine and everything’s going to be all right.
- If anybody should be doing this, it’s you.
『ウィズダム英和辞典』(第2版)(s.v. if (接) 5a (類義)(3))では,こういった事情を配慮した説明となっている。