どういう意味?
「超現実的な、不条理な、奇抜な、難解な様子」のことです。
もう少し詳しく教えて
シュールは本来、フランス語のシュルレアリスム(surréalisme)の略語で「超現実主義」という意味です。これは 1920 年代にフランスで興った前衛芸術運動の名前です。この芸術運動では「まるで夢の中を覘いているような独特の現実感」を持つ作品が多く創作されました(詳細は後述)。これが転じて、略語のシュールも「超現実的な・不条理な・奇抜な・難解な様子」を表すようになったのです。多くの場合「シュールな○○」と言った具合に、形容動詞的に使用されます。
ちなみにシュールの語には、その経緯から「高度で芸術的である」というニュアンスを含むことも多いようです。例えば、「シュールなギャグ」と言った場合、単に「現実離れした難解な設定のギャグ」という意味のみならず、「高い次元でネタとして成立している」というニュアンスを含む場合があります。
どんな時に登場する言葉?
物事・言動・体験の様子が「超現実的で・不条理で・奇抜で・難解である」ような場合に用いられます。例えば、物事の様子を言う例には「シュールなイラスト」「シュールな映像」などが、言動の様子を言う例には「シュールなギャグ」などが、また体験の様子を言う例には「シュールな人生」「シュールな愛」などの言い方があります。
どんな経緯でこの語を使うように?
前述した通り、シュールは芸術運動であるシュルレアリスム(超現実主義の意味)の略語です。この運動はダダイスムに続いて1920年代に興ったもので、一般にはサルバドール=ダリ(Salvador Dali)の絵画がよく知られます。フロイトの精神分析の手法にも大きな影響を受けており、「意識下の世界を客観的に表現する」ことを理論的支柱にしていました。つまりシュルレアリスムは、あくまでも“超”現実主義なのであって、決して“非”現実主義ではなかったのです(ちなみに前身のダダイスムは“非”合理や“非”道徳を信条としていました)。
一方、これが転じて一般化した略語のシュールには、“非”現実的な様子というニュアンスも強く含まれます。これはシュルレアリスムの作品が、一般には“非”現実的な作品だと受け取られたことが関係しているかもしれません。
シュールの使い方を実例で教えて!
シュールな○○
日本語のシュールは、多くの場合、形容動詞的に用いることが可能です。「シュールな映像作品を見た」「この映像作品はシュールだ」「映像作品をシュールに演出した」などの表現方法があります。
言い換えたい場合は?
芸術運動のシュール(シュルレアリスム)を漢字で言い換える場合は「超現実主義」という訳語を用いて下さい。また、一般の意味のシュールを言い換える場合は、「超現実的・不条理・奇抜・難解・現実離れ・非日常的」などの表現を絡めると良いでしょう。例えば「シュールな小説」を言い換える場合、「超現実的(奇抜・難解)な筋書きの小説」などと言い換える方法があります。表現したいニュアンスに併せて、適当な言葉を探してみて下さい。
雑学・うんちく・トリビアを教えて!
シュールリアリズム シュルレアリスムは、和製英語風に「シュールリアリズム」と表記・発音されることも多いようです。ですが、実際の英語surrealismは「サリアリズム」ぐらいに発音するようです。