耳の文化と目の文化(16)-視覚的な特性(9)
2009年 4月 13日 月曜日 筆者: 新田 春夫クラウン独和辞典―編集こぼれ話―(47)
主として形容詞+名詞の句の形式が一般的な概念を表しているのではなく、熟語的にある特定のもの、ひとつの固有名詞的概念を指している場合にはしばしば形容詞は名詞とともに大文字で表記される。
das schwarze/Schwarze Brettは「黒い板」という一般的な意味ではなく、「黒板、掲示板」という学校などにある特定の設備を指している。
このような表記は一般的な意味の表現と区別する必要から術語や専門語でよく使われる:der weiße/Weiße Tod「凍死」、die erste/Erste Hilfe「応急処置」、die gelbe/Gelbe Karte「(サッカーなどの)イエローカード」、der schnelle/Schnelle Brüter「高速増殖炉」、das schwarze/Schwarze Loch「ブラックホール」。
地名などは命名の動機よりも固有名詞として全体が意識されるから常に大文字書きされる:das Schwarze Meer「黒海」、der Stille Ozean「太平洋」、der Gelbe Fluss「黄河」。
職名、歴史的事件、特定の日なども固有名詞的に大文字書きされる:der Regierende Bürgermeister「ベルリンなどの都市州の市長」、der Westfällische Friede「ウェストファリア条約」、der Heilige Abend「クリスマスイブ」
上記の場合とは別に、地名から「どこそこの」という意味の語を作るには派生語尾erを付けて作る。これは常に無変化で大文字書きをする:Kölner Dom「ケルンの大聖堂」、 Münchner Bier「ミュンヒェン産ビール」、Thüringer Wald「チューリンゲンの森」。
人名から「だれだれの」、「だれだれのような」という意味の形容詞を作るときは派生語尾[i]sch, [e]schを付けて作るが、小文字の場合と大文字の場合がある。しかし、両者で「だれだれの」と「だれだれのような」という意味の使い分けがあるわけではない。大文字の場合は名前と派生語尾の間にアポストロフを入れる:goethesche/Goethe’sche Dramenゲーテの戯曲。
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【筆者プロフィール】
新田 春夫(にった・はるお)
武蔵大学教授
専門は言語学、ドイツ語学
『クラウン独和辞典第4版』編修委員
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【編集部から】
「耳の文化と目の文化」をまとめて読むにはこちらです。
2008年2月に『クラウン独和辞典』(第4版)が刊行されました。日本初、「新正書法」を本格的に取り入れた独和辞典です。編修委員の先生方に、ドイツ語学習やこの辞典に関するさまざまなエピソードを綴っていただきます。
2009年 4月 13日







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