伊賀上野城を訪れたとき、ちょうど絵手紙展が開かれていました。地元の絵手紙の会が主催しているようでした。写真1と写真2はそのとき見かけた作品に書かれていたメッセージです。
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「無理せんときゃ ボチボチしい~や」(無理しないでね。ゆっくりしてね。【写真1】)は、三重県やその周辺地域でも聞かれます。心温まることばです。「~や」は、文末詞といって日本語に古くからある表現とされています。よびかけや勧誘、といかけ、命令などに使われます。「~や」から「~やん」「~やい」などが分岐したと考えられています。
「ボチボチ」の典型は、「儲かりまっか(もうかりますか)」「ボチボチでんな(ゆっくり少しずつですね)」(大阪府)でしょう。
「ありがとう。すまんなあ。(すまないね)」【写真2】の「すまん」は、「済まん」と表記しますが、気持ちがこのままではすまない、申しわけないと感じているという意味です。
伊賀南部では、「えらい、すんまへんわー」、和歌山南部では、「すまんのら」、奈良吉野では「すまんだ」、滋賀湖西では「すまんこっとすなー」などがあり、ほかにも全国的にさまざまな形で用いられている表現の一つです。
「また来てだ~こ(また来てください)」【写真3】は、三重県伊賀地方の方言とされています。街中のお店のはり紙にも「どうぞ持って帰ってダーコ(持って帰ってください)」【写真4】と書かれています。「いただく」という意味では、和歌山県や三重県の一部でも使われているようです。「いただく」という依頼の意味から派生したのかもしれません。
伊賀上野では、「おいしいさかい、たくさんあがってだーこ(おいしいからたくさん召し上がってください)」、「ゆっくりしてだーこ(ゆっくりしてください)」などと言います。