テレビを見ていると、ときどきコマーシャルタイムに、社会人として必要なマナーや、この頃おろそかにされがちな公徳心を喚起する短いメッセージなどが流れて、最後に「♪エーシー」と結ぶのを見ることがあります。
東日本大震災直後の、民放の報道番組では、通常のCMは一斉にこの「♪エーシー」に代わり、繰り返し流れてきました。
実は、その新聞版もあるのをご存じでしょうか? 京都で手にした新聞に、次のような広告がありました。平成23年4月1日(金)『毎日新聞』夕刊(大阪本社発行)から、ちょっと長いですが、引用します。
「ちょっとACさん、おせっかいはやめてくれへん」
「なぁなぁ、ときどきACのCMって、テレビで見るやん。
あれってどう思う?」「エ-シ-♪言うやつやろ。あれなぁ、
あれってちょっとおせっかいちゃうの」「なんかええこと言うてんのかも分かれへんけど
なんであんたに説教されなアカンのって感じやねんなぁ」「ACってお役所?」
「役所とはちゃうみたいやけどな」
「昨日なんか、部長からやいやいお説教された後、
やっと家でテレビ見てはぁーってしてるときに
正しいこと言うねんもん。なんか、むかつくわぁ」「ときどき上から目線なんよねぇ・・
ええこと言うてるときもあるねんけどなぁ」「そやなぁ、けどACのCMがなかったらどないやろ?
ちょっと寂しいかなぁ」「ちょっとな・・」
ACジャパンは公共広告を発信する民間の団体です。
おせっかいかもしれませんが、
これからもよろしく、です。
「ACジャパン」(旧・公共広告機構)の事務局によると、我々がテレビでお馴染みのものは「公共広告」と言い、上記は「ACジャパン」という団体そのものを知ってもらうためのもので、「広報広告」というのだそうです。(なお、これと同じ内容の、ラジオ用の音声での作品もあるとのことです)
たまたま関西で手にしたので、関西地域用なのかと思いましたが、そうではなくて、これは今年度の「全国キャンペーン」の作品で、全国の新聞でも見かけることができるものだということです。
関西弁でのストレートな会話が展開されており、あたかもいま関西の家庭のテレビの前で交わされていそうな、いかにもありそうな会話です。AC自体を俎上に載せて、「おせっかい、お説教、お役所? むかつく、上から目線、…」等々、歯に衣着せぬ、辛辣なホンネトークが、リアリティーいっぱいに繰り広げられています。
が、最後は「けど、なかったら、ちょっと寂しいかなぁ/ちょっとな・・」と、その存在価値もしっかりアピールして、「おせっかいかもしれませんが、これからもよろしく、です」と結ばれています。
関西弁のホンネトークの本領発揮、なかなかひねりの効いた広報ではないでしょうか。
《参考》「ACジャパン」のホームページ(//www.ad-c.or.jp/)には、これまでのテレビ用と、新聞・ラジオ用の作品も収録されています。今年度のテレビ放送分は動画で、これまでの分は代表的なシーンが静止画で示されています。
また全国版の他に、各地域版というのもあり、その中には方言が活用された作品もあります。