[意味]
企業などの従業員が、自身に割り当てられた販売目標を達成するため、その商品やサービスを自分自身で購入して売り上げに計上すること。自爆買い。単に自爆とも。(大辞林第四版から)
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厚生労働省は2024年11月26日の労働政策審議会雇用環境・均等分科会で、従業員がノルマを達成するために、自腹で自社の商品を買い取るいわゆる「自爆営業」について、パワーハラスメント防止指針に明記する方針を示しました。自爆営業はこれまで直接規制する法律がなく、放置されることがありましたが、今後は労働施策総合推進法に基づくパワハラ防止指針に明記することで、企業に未然防止を促す狙いとされます。
指針は、①優越的な関係を背景とした言動②業務上必要かつ相当な範囲を超える③労働者の就業環境が害される――の3要件を満たす行為をパワハラと定義。自爆営業がこれら3要件に当てはまった場合、パワハラに該当すると判断されることになるといいます。
そんな「自爆営業」も新聞での使用例はそれほど多くはありません。記事データベースサービス「日経テレコン」で日本経済新聞の朝夕刊に「自爆営業」が出現した記事を検索したところ、初出は2004年8月5日付朝刊1面「郵便局130年目の岐路 利益なきノルマ笑えぬ自爆営業」という記事でした。コンビニの恵方巻き、アパレル業界など2024年までに13件ほどしかありませんが、その多くは郵便局関係。販売目標を達成させるため、お年玉付き年賀はがきを自腹で購入したり、局員同士が小包ギフトを送り合ったりする事例が取り上げられていました。
「自爆営業」という言葉は比較的新しいもののようですが、自腹で商品を買い取る営業行為は、長く続いている古くて新しい問題。ビジネスの現場では、目標を設けて達成を目指すプロセスはごく一般的なものであります。ただし、無理に厳しすぎる数値目標は従業員を疲弊させるばかりか、職場全体に悪影響を及ぼしかねません。

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新四字熟語の「新」には、「故事が由来ではない」「新聞記事に見られる」「新しい意味を持った」という意味を込めています。