学習百科辞典
昭和9年(1934)9月15日刊行
三省堂百科辞書編輯部/本文1526頁/菊判(縦222mm)
本書は、『新修百科辞典』(昭和9年)刊行の半年後に出版された。主な対象を小学校上級生とし、実業補習や中等諸学校初級も含め、一般国民の常識を養う目的で編集されている。
見出しは、『図解現代百科辞典』(昭和6~8年)と同様、すべてカタカナである。また、発音式の仮名遣いとし、歴史的仮名遣いを小さく添え、長音符号「ー」は読まない配列も同じだった。
解説文には振り仮名が多く付けられ、総ルビに近い。文語体ではなく口語体で書かれ、序文では「くだけた書きかた」としているが、「かみ砕いた書き方」ということだろう。
例えば「味の素」は、以下のようになっている。
『新修百科辞典』
調味料の一種。小麦粉の麩素から製造したもので、主成分はグルタミン酸ナトリウム塩である。池田菊苗博士が昆布の味を研究して、其美味の根源がアミノ酸の一種グルタミン酸であることを知って発明したもの。
『学習百科辞典』
調味料の一種。小麦粉の蛋白質を分解して造った白色の粉で、よく湯水に溶け、ごく少量でも食物の風味を増す。
なお、『図解現代百科辞典』では「辞典」がなく「辞書」の項目のみだった。『新修百科辞典』では「辞典」を空見出しにして「辞書」の項目に詳しく書かれている。本書では「辞書」の項目がなく「辞典」だけ、といった変遷も興味深い。
本文の途中には、アート紙による写真やカラー彩色図版が48点挟み込まれている。『新修百科大辞典』より点数は減ったが、猫は写真がない代わりに図版が載り、犬の写真は8点から28点に増え、『図解現代百科辞典』の21点より多い。
本書の定価は3円50銭で、特価3円だった。昭和14年の121版からは増補版として47頁分の補遺が追加され、定価4円80銭、特価3円90銭になった。
●最終項目
ワンリュウ〔湾流〕 「メキシコ湾流」に同じ。その項を見よ。
●「猫」の項目
●「犬」の項目