名古屋弁と博多弁をしゃべるキティちゃん(写真1 名古屋キティキーホルダー/写真2 博多キティキーホルダー)は、キヨスクで見つけて2個ずつ買いました。「背中のボタンを押すと1万回しゃべります」と書いてあるから、1回、1回、大切に聞いています。のれん、ハンドタオルなど、ほかのキティちゃんグッズ(参考:写真3 名古屋キティTシャツ)は読む方言ですが、これは音声をとおして方言が楽しめます。
2002年に発売された名古屋弁のキティちゃんは、名古屋特産の鶏・コーチンの黒いハッピを着て、「そーだがね」(以下、製品の台紙の表記どおり)、「でぇ~らりゃ~すき」(実際は「でぇ~りゃ~すき」と聞こえます)、「えびふりゃぁ食べてみぃ~や~」「言っとらんてぇ」「またきてちょ~お」の5つのことばをネコに似た高い声でしゃべります。
4つの意味は見当がつきますが、理解に苦しむのは、「えびふりゃぁ」でしょう。「えびふりゃぁ」とは“えびフライ”のことです。キティちゃんが方言でしゃべると食べてみたくなります。隣接する三重県では高級伊勢えびフライが有名ですが、名古屋では、えびフライ、えびせん、天むす、えびフライサンドなどに形を変えて名物になっています。ことばの伝播にも似た現象で興味深いです。名古屋の味噌煮込みのうどんのパッケージに登場したキティちゃんは、「どえりゃーうみゃー」と吹き出しがついています。名古屋では何でも食べ物は「うみゃー」なのです!
名古屋弁から数カ月遅れて発売された博多弁をしゃべるキティちゃんは、博多祇園山笠の山笠七流れをイメージした、紺のハッピを着ていて、ねじりはち巻き姿です。山笠を引くためか、縄を手にした威勢のよいキティちゃんで、「ど~したと?(どうしたの?)」(博多弁は訳付き)、「きつかー!(きつい!)」「こっちきーよ(こちらにおいで)」「なんいよ~と?(何言ってるの?)」としゃべります。
大阪弁のキティちゃんは、残念ながら手に入らなかったのですが、大阪食いだおれ人形にちなんだかっこうで、「ええんちゃうのん?」「すっきゃねん」「めっちゃかわいい」「ごっつええ感じ」「あかんねん」の5つのことばをしゃべります。そういえば、大阪キティ物語ハンドタオルにも「めっちゃ!かわいい」と書かれています。関西では「超(とても)」の意味で、「めっちゃ!」や「めっさ!」が使われます。
言語経済力を反映して、年齢不詳のキティちゃんが最初にしゃべったのは、2000年。大阪弁で、すぐに完売したとのことです。キティちゃんは、大阪弁、名古屋弁、博多弁のほかに、津軽弁、共通語もしゃべるそうで、方言の特徴を出しやすい地域に限定されています。今もどこかで「きつかー!」などと叫んでいることでしょう。