『麦畑』(オヨネーズ 1989)『小麦ちゃん』(オヨネーズ 1990)によって、「方言ソング(方言を体系全体として忠実に写したタイプの歌)」は、一般になじみのあるものとなりました。第98回の各地の方言による愛の告白CDもその流れにあるものと言えるでしょう。
今回ご紹介する『だすけ、せったねかね』は、まさに「方言ソング」の王道を行くものです。
作詞・作曲は、宮尾俊行さん(新潟県上越市中郷区。編曲は中島昭二さん)。雪国の生活風景を上越地域の方言と特徴あるメロディーで表現。リフレインされる曲名の「だすけ、せったねかね」[=だから言ったじゃないですか]は、耳に残ります。
なお、CDの吹き込みも、宮尾俊行さんが担当。ネイティブの発音が堪能できます。
だすけ、せったねかね
(セリフ)
おらやだわー
どーしんだろー
せーつないわー一
*だすけ、せったねかね せったねかね
えっせだせって せったねかね
見てみないや えっせな雪だろねたまげなったかね なあ、父ちゃん
家族総出で 雪掘りしんきゃ
女のオラも 尾根上がるかね(*印 くりかえし)
歌詞カードに共通語訳がないので、補っておくと「えっせ」[=すごい]となります。二番以降にも「へんね」[=昼寝]、「しんのい」[=しんどい]、「ごっつぉ」[=御馳走]、「しょーしっくらしー」[=きまりが悪い]など、上越地域のことばがいくつも出てきます。
雪かきではなく、「雪掘り」という表現が、いかにも豪雪地帯を感じさせる表現ですね。