ハワイの英語はアメリカ本土の英語と違います。地元ではハワイで発達した独特の英語をPidginと呼びます。言語学では厳密な定義のもとに術語として使っていますが、ハワイでは現在の英語ハワイ方言の名称なのです。1970年にWilliam Labovがハワイに滞在して、若い世代の談話の録音を試みましたが、大研究には発展しませんでした。その後大きな変化があり、今は研究グループが活躍しています。ホノルルの短期滞在の間にそのPidgin Coupの研究会があるというので、参加して、情報を交換しました。ホームページでも、基本情報が得られます。
//www.hawaii.edu/sls/pidgin.html
今のハワイの若い世代のふだんのことばは、アメリカ本土の英語と、文法も発音も単語も違います。インターネット経由でそのピジン英語を聞く(見る)こともできます(会員の古川さんのご教示によります)。
(1) Talking Story about Pidgin: Exploring the creole language of Hawai‛i
//sls.hawaii.edu/Pidgin/
高校の社会科の先生を対象にした授業補助を目指して構築中のウェブサイト。
“Pidgin in Public”では、街角のハワイピジンの写真が見られます。
(2) Ha Kam Wi Tawk Pidgin Yet? 1 of 3
//www.youtube.com/watch?v=NesfQ2oNBcA
ワイアナエ高校の生徒が作成したドキュメンタリー。他の番組もYou Tubeで見られます。
(3) Pidgin: The voice of Hawai‛i
//pidginthevoiceofhawaii.com/buy-the-dvd/
昨年発表されたドキュメンタリー作品を注文できます。
また街にはちゃんと方言みやげもありました。グリーティングカードがピジン英語で書かれています。【図1】
店とそのブランドの名前でもDa Kineというのがあります。The Kindのピジン発音「ダカイン」を写したもので、日本語のアレとかナニのように、思いつかないことばを仮に言うときに使います。【図2】
ハワイのピジン方言は、日本の方言と同じように、撲滅、記述、娯楽の三段階を経ました。人々の見方が変わると、同じ方向に動くのでしょうか? 方言グッズを手がかりにすると、世界のことばの動きが分かります。
編集部から
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。方言研究の第一線でご活躍中の先生方によるリレー連載です。