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第11回 【冷感寝具】れいかんしんぐ

筆者:
2020年7月27日

[意味]

触ってひんやりする素材を使った布団や枕カバー、敷きパッドなど。

[関連]

涼感衣料・涼感商品・接触冷感

[類義語]

涼感寝具

 * 

今年の夏も暑い日が続いています。気象庁の予報では、7~9月の平均気温は平年よりも高くなるとのことでした。この時期、就寝中に熱中症を発症するリスクもあり、室温の調整など睡眠環境を整えることが必要になってきます。

「冷感寝具」という語が日本経済新聞社の発行する新聞に初めて登場したのは2007年6月4日のことでした。日経MJ(流通新聞)の新製品コーナーで、寝苦しい夏の夜をひんやり過ごせる冷感寝具シリーズとして西川産業の「クールエコー」を紹介。特殊セラミックスを混入したポリエステルとレーヨンを交撚(こうねん)した冷感素材を採用した羽毛肌掛け布団、ドーナツ枕、タオルケットなど6品目ありました。

その後、新聞での「冷感寝具」登場記事件数は年に0~1件で推移していましたが、東日本大震災の起きた2011年に急増することとなりました。東京電力福島第1原子力発電所事故を受けて電力需給が逼迫。国民の間で節電意識が高まったこともあり、エアコンを使わずに暑い夏の夜を過ごすための対策が記事件数にも表れたというわけです。同年上期の日経MJヒット商品番付では「涼感衣料」が西の関脇になり、当時の記事は「衣料のほか寝具・雑貨も涼感商品が人気」と伝えています。また、コロナ禍の2020年は肌に触れるとひんやり感じる「接触冷感」素材を使った夏用マスクも求められるようになりました。

地球温暖化で厳しい暑さは今後も続くと思われます。寝苦しい夜は翌日の仕事や学業に響くほか、寝たはずなのに疲れが取れないということもあるでしょう。少しでも快適に過ごすため、冷感寝具(涼感寝具)などは手放せません。

「冷感寝具・涼感寝具」の登場記事件数

*日本経済新聞朝夕刊・日経産業新聞・日経MJ・日経ヴェリタスの記事を調査。

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新四字熟語の「新」には、「故事が由来ではない」「新聞記事に見られる」「新しい意味を持った」という意味を込めています。

筆者プロフィール

小林 肇 ( こばやし・はじめ)

日本経済新聞社 用語幹事。金融機関に勤務後、1990年に校閲記者として日本経済新聞社に入社。長く作字・フォント業務に携わる。日経電子版コラム「ことばオンライン」、日経ビジネススクール オンライン講座「ビジネス文章力養成講座」などを担当。著書などに『謎だらけの日本語』『日本語ふしぎ探検』(共著、日経プレミアシリーズ)、『文章と文体』(共著、朝倉書店)、『日本語大事典』(項目執筆、朝倉書店)、『大辞林 第四版』(編集協力、三省堂)、『加山雄三全仕事』(共著、ぴあ)、『函館オーシャンを追って』(長門出版社)がある。2018年9月から日本漢字能力検定協会ウェブサイト『漢字カフェ』で、コラム「新聞漢字あれこれ」を連載中。

編集部から

四字熟語と言えば、故事ことわざや格言の類で、日本語の中でも特別の存在感があります。ところが、それらの伝統的な四字熟語とは違って、気づかない四字熟語が盛んに使われています。本コラムでは、日々、新聞のことばを観察し続けている日本経済新聞社用語幹事で、『大辞林第四版』編集協力者の小林肇さんが、それらの四字熟語、いわば「新四字熟語」をつまみ上げ、解説してくれます。どうぞ、新四字熟語の世界をお楽しみください。

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