1993年から放映されたテレビCMのキャッチコピー「勉強しまーっせ。引っ越しのー○○○。」は,かなりのインパクトをもって全国に届きました。出演していた俳優さんも,その後多くの映画やテレビドラマで大活躍していますが,今でも「引っ越しの○○○の人」と言えば分かってもらえるくらい,多くの人の記憶に残っています。
(注)「勉強する」は,商業やサービス業で「値引きする」意です。関西発祥の表現ですが,現代では他地方でもよく使われています。
このインパクトの強さの理由は,いくつかあると思いますが,やはり,このCMコピーが大阪弁=大阪方言であったこともそのうちの重要な一つであると思います。
この会社は,たしかに大阪で発祥しましたが,このCMは大阪の人だけに向けたものではなく,また,特に大阪に引っ越して来てほしいというわけでもありません。
つまり,大阪方言に「全国の人に強い印象を植え付ける」効果を認めることができるのです。CM作者がこういう大阪方言の使用目的を持っていたかどうかは確認していませんが,結果として,この効果が出ているのは確かです。
この大阪方言の使い方は,上で述べたとおり,方言メッセージの基本の使い方とだいぶ異なるもので,大阪方言の威力が認められます。今回は,このような例を紹介します。
まず,東京で見つけた大阪方言のメッセージ2例です。新宿駅近く(想い出横丁付近)の金券ショップの案内「…ありまっせ!!」【写真1】と,JR高田馬場駅戸山口(新大久保寄りの小さな改札口)すぐそばの飲食店の案内「…あげてまっせ」【写真2】です。東京で大阪方言のメッセージは,確かに目立ちますね。
次は,明星食品株式会社のカップ麺の方言ネーミング「○○でっせ」です【写真3】。6種類あります>>【写真3】をクリック。「すうどん」は,関西料理ですが,他の5種類は,麺自体の名称は全国共通のものですし,この6種とも関西地域限定販売ではありません。名称とともに,「麺もスープ[つゆ]もめっちゃ旨い!」という説明も大阪方言です。
もう一つ,山崎製パン株式会社のパンの方言メッセージ「うちら…ええ感じに…ってなんでやねんっ!」【写真4】も紹介しておきます。このシリーズで,他のものは,共通語が使われているようですし,やはり,全国販売品です。
この“大阪弁の威力”,ものすごい!と思いますが,皆さん如何でしょう?