観光地など、特に団体旅行で大勢の人が訪れる場所のトイレは混雑します。次の観光ポイントにバスで移動するなど、時間が限られていると非常に慌ただしく、そそくさと用を足さないといけません。「せいては事を仕損ずる」?
きれいに使ってほしいというお願いの掲示はよく目にします。ちょっとひねった、男性の小用への“警告文”=例えば、和歌ふうに「急ぐとも 心静かに手を添えて 外に散らすな 白玉(朝顔)の露」などと短冊に書いて貼ってあるのを、何度か見たことがあります。
方言で書かれたお願いも、まま見られます。旅先で出会った場合には、ちょっとした“旅情”も感じられて、いっそう効果的です。
その具体例、三重県の伊勢神宮の参道近くのトイレにあったのが、次の一文です。何だか、地元の人から、じかにそう語りかけられているような気分になります。
いつもきれいに
つこてもうて、
おおきんな
また、山口市瑠璃光寺そばのみやげもの店で見かけた掲示には、次のように書いてありました。「ようおいでました/うれしゅうあります/ぶち〔非常に〕気持ちがええ」などは、いかにも山口県の方言らしい表現です。
ようおいでました
いっつも綺麗に使うてもろうて、
ほんと嬉しゅうあります。
お客様も皆 喜んじょります。
次ぃ使う時、ぶち気持ちがええ♪
皆様に… 感謝感謝♪♪
いずれも、ただ文章だけでなく、イラストが入っていて目立ちますし、ふっと気分がなごみます。後者には♪まで付いています。しかも使う前から先取りの感謝までされては、ヘタな利用はできません。「トイレはきれいに使いましょう!」