この冬は特に寒く,私も体調を崩してしまいました。病気の治療には,病院の受診のほか,市販薬の服用もあります。今回は薬の話です。なお,今回は読者の皆さんに,特別に希望があります。おしまいまで「いちびり精神」(第141回)をもって,「薬の話」であることを否定しないで読み続けてください。
市販薬のなかに『大阪弁の薬』があります。大阪は,商人の町と言われますが,薬の町でもあるのです。製薬企業の本社や主要支社も多くあり,大阪弁の薬も,そういう土地柄のなかで作られています。
薬の名称は,『オモシロクナール』【写真1】,『アタリヤスクナール』,『ヨクスベール』と,似た名前が別の薬にあるもので,特に大阪弁でもない[注]のですが,「成分」が大阪弁なのです。
たとえば,『オモシロクナール』には,「ウケテショウガアレフェン」(受ケテショウガアレヘン=受けてしょうがない)や「ワライトマラフェン」(笑イ止マラヘン=笑いが止まらない),の,大阪弁の薬効成分や,「コナイウケルノナーゼ」(このように受けるのはなぜ),また,「スベルキセン」(おもしろくなくて白けるという気はしない)が入っています。【写真2】
また,『ヨクスベール』には,「ミンナワラワフェン」(ミンナ笑ワヘン=皆笑わない),「メッサスベルン酸」(メッサスベル=とても白ける),「コナイスベルノナーゼ」(このように白けるのはなぜ),など,さらに,『アタリヤスクナール』には,「アタリトマラフェン」(アタリトマラヘン=良い評価が止まらない),「ハマルキセン」(面白くなる気がしない)が入っていて,しっかり効きそうです。
「良薬は口に苦し」と申します。大阪弁の薬,3種とも効き目は折り紙付きですが,味については,十分な『臨床治験』ののち,報告します。
なお,大阪弁の薬は,大阪市内などの吉本ショップのほか,ネットでも販売しています。//www.yoshimotoclub.co.jp/itemlist.phpからどうぞ。
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[注]「スベル」は,おもしろくなくて白ける,という意味の関西方言です。その対義語が「ウケル」で,「ウケル」か「スベル」かは,笑いのことのほか,物事一般の評価の表現としても用いられます。「すべらない、神戸土産。」という広告もあり【写真3】,方言メッセージと言えましょう。薬の名称にも大阪弁「スベル」が入っていると考えることもできます。