《お知らせ》
この連載は,もうすぐ6周年です。第301回から少し模様替えをします。詳しくは,また説明します。
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さて,方言ネーミングのIC乗車カードについて「第38回」で取り上げられました。IC乗車カードの最初は,SUICA{スイカ:JR東日本:2001(平成3)年11月使用開始}です。そのネーミングは,改札口を「スイスイ」通る「カード」からで,方言とは無関係です。(開発者によると「Super Urban Intelligent Card」がもとのようです)
SUICAに続き,各地で同様のカードが多種発行されています〔注〕。「第38回」で紹介のとおり,方言ネーミングのものも出ています。icoca{イコカ:JR西日本:2003(平成5)年~},SUGOCA{スゴカ:JR九州:2009(平成21)年~},はやかけん{福岡市交通局:2009年(平成21)年~}です。すぐあとに,Ecomyca{エコマイカ:富山地方鉄道:2009(平成21)年~}も出ました。
そこに新たに東北弁のものが加わります。2013(平成25)年11月に,仙台市交通局から発表されました(同局の発表→//www.kotsu.city.sendai.jp/iccard/meisyo/kettei/pdf/icmeisyou.pdf)。仙台方言のicsca(イクスカ)です【写真1】。icscaは,仙台(他の東北地方でも)の方言からで,「行きますか?」の意味です。「〇〇スカ」は,「〇〇カ」よりも丁寧な質問の表現です。同局の発表では「英語の『イクスカーション(小旅行、遠足:excursion)』という意味も含みます」ということです。今年2月26日には,カードのデザインが発表されました(同→//www.kotsu.city.sendai.jp/iccard/news/design/pdf/140226_design.pdf)。スペリングと文字の色遣いは,SUGOCA同様「IC」の意識です。
来年に予定の仙台市営地下鉄東西線の開通を前に,利用者の利便性が高まることでしょう。関西~九州~富山に継いで,東北弁の方言ネーミングのIC乗車カードは,東北に住む者として,とても喜ばしいことです。
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〔注〕IC乗車カードの種類の多さと利用地区の全国展開のよくわかる地図が,関西のPiTaPaのポスターに示されています。各地の「いらっしゃいませ」の方言を組み合わせたものとなっていますので,これ自体も,この研究の資料です【写真2】。