300回の節目を迎えたのを機に、主な調査地とした長野県方言の拡張活用例からベスト3を選びました。例の多さやインパクト等を総合的に勘案して、
Ⅰ.ずく(第5・55・115・190回)
Ⅱ.ずら(第25・130回)
Ⅲ.~ず(第175回)
と、してみました。
Ⅰ.ずく[=精を出してする気力]
和菓子や店名などのネーミング、方言Tシャツを挙げましたが、さらに以下の活用例が加えられます。
①「ずくもち」 和菓子 (上田市内)
②「ずくっ娘味噌」 味噌 (上田市内)
③「ZUKU」 缶バッチ・トートバック;ローマ字表記 (佐久市内)【写真1】
④「ずく出し!知恵出し!おもてなし。プロジェクト」 観光キャンペーン 長野県観光部
⑤「ずくだすガイド」(身体活動ガイドライン) 健康増進運動 長野県健康長寿課
⑥「坂ちゃんのずくだせえぶりでぃ」 番組名 信越放送ラジオ「ずく」の使用範囲は、全県を覆っていることもあり、県民に発するメッセージとして選ばれやすい語と言えます(④・⑤)。
Ⅱ.ずら[=~だろう]
ネーミングやメッセージの例を挙げましたが、清酒「いいずら」の地元には、大町特産館「いーずら」があり、「ズーラ」(信州諏訪温泉泊覧会)は、現在も継続中です。
Ⅲ.~ず[=~しよう]
その後、公務員募集の方言活用(第271回)の例を見つけました。長野市内を走る路線バスに取り付けられた自衛官募集の広告です。
意味は、「あなたも行きましょう! 一緒にやりましょう!」となります。
これらのうち、「ずく」は、造語力が強く、「おーずく」[=大きな仕事に立ち向かう活力]、「こずく」[=まめまめしく働く様子]、「ずくなし」[=怠け者]などの類語とともに、県民に親しまれており、方言みやげ・グッズ・ネーミング・メッセージなど、今後も、さまざまな方式での活用が予想されます。
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